最近、新型コロナウイルスが高温、多湿に弱いという報道や研究論文、報告が国内外で出ているようです。その中には、具体的に、湿度50%、摂氏22.22度にすれば、ウィルスの活動が収まると伝えているものもあります。つまり、「湿度50% 22.22℃以上の高温多湿なら、ウイルスは活動を停止する」ということです。
しかし、ブリュッセル発ロイター通信は、欧州疾病予防管理センター(ECDC)が3月25日、新型コロナウイルス感染拡大が夏に終息する公算は小さいとの見通しを示しました。研究結果によると、シンガポールのような高温多湿の熱帯地方でも、ウイルスの活動が弱まらないそうです。
ECDCは、この分析が「感染者の隔離や職場でのソーシャル・ディスタンシング(社会的距離戦略)、学校閉鎖など一連の措置の重要性を浮き彫りにした」と指摘しました。
はて、これはどういう事なのでしょうか?
米国にいる新型コロナウィルスより、ヨーロッパにいる新型コロナウィルスの方が 生存能力が強いのでしょうか?
いや、それはないでしょう。
とすると、米国と欧州の違いは、研究の手法の違いによって、違う結論が導かれていると推測します。
高温多湿の夏になれば、感染拡大が終息するとは最初から言われていました。けれどその頃から、「でも熱帯のシンガーポールでも感染している。だから高温多湿にしても無駄なのだ」という論理の無限ループの中で、各国政府のコロナ対策に「高温多湿政策」が採用されることはありませんでした。
私が不思議に思うのは「なぜ こう判断するのか」という事です。
「熱帯地方でも感染がある」という《現象》と、「湿度50% 22.22℃以上の高温多湿なら、ウィルスは活動を停止する」という研究結果は、互いに矛盾するものではありません。
まずは敵の弱点研究を
「湿度と気温の両方が達成された時に、ウィルスは活動を停止する」のですから、気温が22.22℃以上であっても湿度が低くかったり、建物内で冷房が効いていたりすれば、ウィルスは十分に活動できるのです。
室温をあげるだけならば暖房の設定温度をあげればよいのですから簡単ですし、湿度もできる範囲で上げておくだけでも、ウイルスの活動を「停止できないまでも、抑制する」効果はあると考えます。
私が注目しているのは、「シンガポールのような高温多湿の熱帯地方でも、感染者が発生する」ではなくて、「シンガポールのような高温多湿の熱帯地方では、欧州やニューヨークのように感染爆発は起こっていない」という点です。
日本でも北海道では感染が広がりましたが、沖縄では広がりませんでした。また、米国でも感染がパッと広がったワシントン州やニューヨークは寒い地方です。
私はこの現象を、①低温乾燥だと、ウィルスが快適で全力疾走して感染多数②高温多湿だと、ウィルスが不快で動きが鈍くて感染少数―だからだと推測しています。
なのに、なぜWHOも、各国政府首脳も高温多湿の効果に言及しないのか、私にはおよそ理解できません。
そして「換気すれば大丈夫だ」「飛沫が付着する程近くで会話しなければよい」「人が密集しなければよい」というから、「外ならOKなんだ」と人々はバーべキューや花見に繰り出すのです。私はここに「高温多湿」を加えれば、さらに感染率を下げることができるはずだと思います。
つまり、私は欧州疾病予防管理センター(ECDC)には事実と自分達の推論を分けて、人々が誤解をしないように正確に公表して欲しいと希望します。ECDCのような公的機関には、人々は信頼を寄せていますので信じてしまいます。だから発言には慎重を期して頂きたいと思います。
治療薬やワクチンの開発は重要です。しかし、まずは人類の敵であるウィルスの弱点を世界の英知を集結、研究し、世界の人々に正確に発信することがとても重要なことだと思います。
筆者:長谷川七重
千葉県在住のブロガー、漫画「宇宙人サクラダ、世界をわらう」をネットで発信中。著書に、「十七条の憲法」で紐解く日本文明論 多元相対論から日本を考える (産経リーブル)など。
https://note.com/nanaehasegawa/n/nb10d16fcd281
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