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北京五輪事実上「外交的ボイコット」 経済界は苦悩

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政府は、2月開催の北京冬季五輪・パラリンピックへの政府関係者の派遣を見送ると表明した。中国を刺激する「外交的ボイコット」の表現を避けたことについて、経済界はおおむね好意的とみられる。国内企業の多くは、14億人の巨大市場を抱える中国ビジネス抜きには立ちゆかなくなっているからだ。実際、政府表明前後の財界首脳のコメントは苦悩に満ちていた。

 

「人権問題があるので五輪参加について慎重にならざるを得ない、とは言っていない点で良い判断」

 

経済同友会の桜田謙悟代表幹事は、政府表明を受けた12月24日の記者会見でこう評価し、「旗幟(きし)鮮明にすることが国益になるとは思わない」と改めて強調した。

 

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大阪商工会議所の尾崎裕(ひろし)会頭は22日の会見で、「政府に任せる。それ以上言えることはない」と個人的な考えは明かさなかった。論客として知られるコクヨの黒田章裕会長ら5人の大商副会頭も同席したが、この件については誰も口を開かなかった。

 

外交的ボイコットの背景にあるのは、中国の新疆ウイグル自治区や香港などでの人権弾圧だ。既に、米英などは、抗議のため外交的ボイコットを表明した。

 

これに対し、日本の財界幹部は「余計なことをしゃべって中国政府ににらまれると、対中輸出や現地販売を突然規制されかねない。日本のテレビや新聞、インターネットのニュースまで細かくチェックしている」とおびえる。

 

実際、経団連の十倉雅和会長は「(米中)どちらの国から見てもなるほどという落としどころを探って、それが『曖昧』といわれてもいいんじゃないか」との考えを披露した。

 

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財務省の貿易統計によると、日本にとって最大の貿易相手国は中国だ。国・地域別の輸出入総額をみると、令和2年は首位の中国が32兆円と2位・米国(20兆円)の1・6倍だ。中国の割合は全体のほぼ4分の1を占めるほど大きい。

 

1月1日、日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)などが参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)が発効した。日本にとって中国との間で結ぶ初めての貿易協定のため、「外交的ボイコットの表明で対中貿易の活発化に水を差されたくない」との思惑もあった。

 

ただ、経済界では、中国当局からの過大な技術移転の要求や情報流出など「経済安全保障」上の警戒感が強まり、相手を威嚇する「戦狼外交」への反発も大きくなっている。しかも、中国の人権弾圧に口をつぐんでいると、投資家から評価されなくなったり、国内保守層からの強い反発を招いたりする懸念も大きい。

 

経済界の苦悩は深いが、「中国の人権侵害は当然、非難されるべきだ」との声も上がり始めた。関西経済同友会の生駒京子代表幹事は23日の会見で「外交的ボイコットという言葉が独り歩きしては困るが、(抗議の意味で)政府代表を派遣しない方がよい」と明言。その上で、来年は日中国交正常化50年の節目に当たることから、日中がより良い関係になるためには「『いけないことはいけない』と正々堂々メッセージを伝えるべきだ」との考えを示した。

 

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今後は、国内外の北京五輪スポンサー企業の言動も焦点になる。新型コロナウイルスの感染拡大で今夏の東京五輪・パラリンピックでは一部の企業がテレビCMを自粛した。巨額投資の効果がほとんどなかっただけに、北京五輪への期待は大きかったが、「もはや五輪ムードを盛り上げる雰囲気ではなく、難しい判断を迫られる」と落胆の声が広がり始めた。

 

筆者:藤原章裕(産経新聞)

 

 

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