有馬記念の注目馬・エフフォーリア
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ハイレベルの3強対決を制した天皇賞・秋から約2カ月―。ファン投票では昨年の覇者(クロノジェネシス)を抑え、3歳馬のエフフォーリアが堂々の1位に支持された。鞍上の横山武史騎手ともども進化し続けるコンビが年末のグランプリでGⅠ3勝目を狙う。
鹿戸雄一調教師は「(ファン投票で)多くの支持をしていただき、ありがたいです。その期待に応えられるよう、しっかりと仕上げていきたいですね」と気持ちを引き締める。
その天皇賞・秋ではコントレイル(2着)やグランアレグリア(3着)といった古馬の強敵を完封。人馬ともに完璧なパフォーマンスを見せ、ダービー(ハナ差2着)の悔しさを晴らした。トレーナーは「枠順も良かったし、いいポジションで流れに乗れた。しっかりと力を出し切れたし、強い競馬をしてくれたと思います」と評価する。その後、グランアレグリアとコントレイルがラストラン(マイルCS、ジャパンC)で有終の美を飾り、この馬に対する評価も一段と高まった。
いつも通り、レース後は福島県のノーザンファーム天栄で調整。馬運車で移動中に落鉄して蹄を傷めるアクシデントもあったようだが、迅速かつ適切なケアで症状が回復。この大一番に向け、12月3日に帰厩した。「元気いっぱいの状態で戻ってきたし、帰厩後は順調に乗り出せた。馬体重も520㌔台で天皇賞の前と同じような感じだし、身体的には大丈夫です」と不安はない。
1週前の追い切りは横山武史騎手を背にWコースで6ハロン84秒1、ラスト1ハロン11秒8を計時。前を行く2頭を目標に置き、ゴール板を過ぎてからも肩ムチを入れるなどして適度に負荷を掛けた。調教スタンド前で見守った指揮官は「予定通りの調教ができたし、いい感じでした。1週前としては十分。タケシは『ちょっと物足りない』というようなことを言っていたけど、このひと追いで変わってくるでしょう。ちょうど良く仕上がってくると思います」とジャッジする。
鹿戸厩舎としては2008年のスクリーンヒーロー(3番人気5着)以来、2度目の有馬記念。中山の2500メートルはトリッキーなコース形態もポイントになるが、「中山は皐月賞で勝っているし、特に心配していない。スクリーンヒーローのときは勝った相手(ダイワスカーレット)も強かったけどね。そう簡単に勝てるほど甘くないことは分かっているけど、一年の総決算として勝ちたいレースのひとつ。この馬にとっても勝てば評価が上がるし、何とか勝たせてあげたい。この一年、いいことも悔しいこともあった。しっかりと勝って締めくくりたいと思っています」とGⅠ3勝目を強く意識する。
グレード制を導入した1984年以降、天皇賞・秋を勝ち、有馬記念に直行したのは6頭。その成績は【0114】(レイデオロの2着が最高)と鬼門なデータもあるが、勝てば年度代表馬が見えてくる。その名の通り、3度目の『強い幸福感』を―。エフフォーリアが秋の盾に続き、グランプリホースの座を全力で取りに行く。
筆者:和田稔夫(週刊Gallop)
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