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【主張】太陽光発電義務化 都知事は構想の白紙化を

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小池百合子・東京都知事(東京都提供)

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戸建てを含む新築住宅に太陽光発電の設置を義務付ける。東京都の小池百合子知事肝いりの構想だが、費用負担のあり方やリサイクルへの懸念などが解消されないまま、制度導入に向けた条例改正を進めている。あまりに拙速ではないか。

 

都は都内の温室効果ガス排出量を2030年までに00年比で半減させる目標を掲げる。二酸化炭素の3割が家庭から排出されるとして、削減に向け都環境審議会に諮問していた。

 

太陽パネルを載せた住宅群=千葉県松戸市

 

都がまとめた条例改正の中間案は、延べ床面積2000平方メートル未満の住宅を対象に、年間の供給実績の延べ床面積が2万平方メートル以上の住宅メーカーなどに太陽光発電の設置を義務付けている。都内の約50社が対象となり、年間に着工される4・5万件のうち、半数ほどが対象になる見通しだ。

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太陽光パネルの設置費用は約100万円で、住宅価格に上乗せされれば、購入者の負担増になる。パネルの寿命は20~30年とされるが、リサイクルの体制は万全とはいえない。使用済みパネルが大量に放置される可能性がある。

 

震災時に危険はないか。例えば新潟県新発田市は、太陽光パネルは台風や地震で破損することがあり、パネルに光が当たれば発電して感電することがある、と注意喚起している。他にも多くの自治体が同様の呼びかけをしている。

 

電力供給が過剰になると供給と需要のバランスが崩れて大停電が起きる恐れもある。各家庭への出力制限にも限界がある。

 

そもそも、住宅への太陽光パネル設置義務化は国土交通省が検討し、これを見送った経緯がある。地域や立地などで発電効率に格差があり、一律の義務化は無理があるというのが主な理由だった。

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中国新疆ウイグル自治区の「職業訓練センター」とされる施設。=2018年9月(ロイター)

 

加えて太陽光発電用の多結晶シリコンの80%は中国製で半分以上が新疆ウイグル自治区における生産だ。人権上の問題についてもていねいな説明が求められ、国産パネルの使用も重要課題だ。

 

都は標準的な戸建てに太陽光パネルを設置した場合、10年後に元がとれるというが、破損した場合の負担などは不透明なままだ。

 

都は改正条例案の年度内成立を目指し、制度化すれば全国初となる。小池氏は都議会で「個人が設置の有無を選択できる弾力的な仕組みの検討を進める」と語っている。まず、義務化の構想を白紙に戻してはいかがか。

 

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2022年6月21日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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