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土地利用規制法施行 「阻害行為」に照射など列挙

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北海道の自衛隊レーダー施設近くで
中国系資本が関連するとみられる企業による
土地買収が確認されている

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外国勢力による安全保障上の脅威となりそうな土地の利用を防ぐ「土地利用規制法」が9月20日、全面施行された。政府は対象となる条件などを盛り込んだ基本方針を策定。原発を含む原子力関係施設を対象施設としたほか、重要施設の機能を妨げる行為としてレーザー光の照射や妨害電波の発射などを例示した。基本方針は昨年6月に成立した規制法の運用指針となり、今月中旬に閣議決定した。

 

 

国は「注視区域」の土地や建物について、不動産登記簿や住民基本台帳を使って所有者の国籍や氏名、住所、利用状況などを調べることができる。さらに、重要な機能を備えた施設周辺の「特別注視区域」は、200平方メートル以上ある土地や建物の売買に関し、事前に氏名や住所、国籍、利用目的などの届け出を求める。

 

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規制法では、注視区域の対象として自衛隊基地や海上保安庁の施設、国境離島などを明記していたが、基本方針には原子力関係施設や、自衛隊施設が隣接し自衛隊も利用する空港なども盛り込んだ。国は調査を行ったうえで、施設機能を妨げる「阻害行為」が認められれば、中止を求める勧告や命令を出す。届け出を怠ったり、命令に従わなかったりした場合の刑事罰も規定されている。

 

規制法は何が阻害行為にあたるかを具体的に明示していなかったが、基本方針では、自衛隊の航空機の離着陸やレーダー運用の妨げとなる工作物の設置▽施設機能に支障を来すレーザー光の照射や妨害電波の発射▽流出により施設の利用阻害につながる土砂の集積-などの事例を示した。一方で、該当しない行為も明記。施設の敷地内を見ることができる住宅への居住▽住宅と同程度の高さの倉庫などの設置▽施設周辺の私有地での集会開催-などを列挙している。

 

基本方針は内閣府が7月に開いた審議会で了承された。政府は規制法の全面施行に合わせ、閣議決定した。施行後、政府は2、3年をめどに、600~700にのぼるとみられる対象施設周辺の土地の区域指定や調査を進める。

 

売買規制に踏み込まず

 

中国など外国資本による土地買収が続く中、政府は土地利用規制法の全面施行により、安全保障上の脅威に対する備えをようやく手にする形だ。とはいえ、規制法は土地の売買規制などには踏み込んでいない。他の先進国は外資の不動産取得に歯止めをかけており、さらなる取り組みが求められている。

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外資の土地買収については以前から、北海道で中国資本が航空自衛隊も運用する新千歳空港の近接地を買収したり、水源地を含む大規模な山林を買収したりする事例が問題視されていた。また、韓国資本が長崎県・対馬の海上自衛隊基地の隣接地を買収したケースなども確認された。

 

規制法にはそうした懸念を解消することが期待されるが、実効性には疑問符がつく。法整備の際に野党だけでなく自民党や公明党からも私権制限や経済活動の鈍化を招きかねないとの意見が噴出。これを受け、規制する行為が「売買」ではなく「利用」に限定されたからだ。今回の基本方針で政府が規制対象となる「阻害行為」に該当しない行為をわざわざ列挙したのもそうした背景がある。

 

米国で外国資本が軍事施設周辺の不動産を購入する場合は審査対象となっており、大統領に取引停止権限が付与されている。韓国、オーストラリアでも軍事施設周辺の外国人による不動産取得は事前許可制や届け出制などの対象だ。

 

台湾情勢など日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。一方、足下では円安が加速し、外資による日本の不動産取得はさらに進む恐れがある。

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政府関係者は「この法律を第一歩として領土を守る必要性への理解を広めていきたい」と語るが、さらなる法整備を含め、実効性のある対策を講じることが待ったなしとなっている。

 

筆者:永井大輔(産経新聞)

 

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