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【主張】植田日銀が始動 市場との丁寧な対話図れ

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Bank of Japan
G7財務相・中央銀行総裁会議閉幕後に記者会見する日銀の植田総裁(右)と鈴木財務相=4月12日、ワシントン(共同)

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4月9日に就任した植田和男総裁の下で、日銀の新体制が始動した。

 

記者会見に臨んだ植田氏は、異例の大規模金融緩和路線を維持する考えを改めて表明し、その手段であるマイナス金利政策や長短金利操作も「継続するのが適当」とする認識を示した。

 

金融政策の大枠を変えず、まずは緩和で生じた市場機能低下などの副作用に適切に対処するのが基本ということだ。いまだ日本経済には金融引き締めに転じられるほどの強さはなく、当面の政策運営として現実的である。

 

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衆院財務金融委で答弁する日銀の植田和男総裁。左は鈴木俊一財務相=4月18日午前、国会内(矢島康弘撮影)

 

ただし、いずれは金融政策の正常化を図る「出口戦略」を講じるべき局面が訪れよう。ここにいかに対処するかが、新体制に課された最重要の使命である。

 

植田日銀には、市場や政治と丁寧に対話を進めながら物価や賃金の趨勢(すうせい)を十分に見極め、時機を逸することなく必要な政策を果断に講じるよう求めたい。

 

賃金上昇を伴う形で2%の物価上昇率を安定的に実現するという黒田東彦前総裁時代の目標は果たされていない。植田氏は「物価安定の達成というミッションの総仕上げに向けて、理論、実務の両面で尽力したい」と語った。

 

物価安定を確実にするには、現段階での金融政策の効果と副作用を的確に把握することが必要だ。植田氏は「点検や検証があってもいい」としており、日銀はその作業を早急に進めるべきである。

 

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国内外の経済・金融の変化にも万全の対応を期したい。大規模緩和で日銀が大量の国債を購入した結果、市場の金利形成機能がゆがんだ。円安や財政規律の緩みなどの副作用もある。欧米の銀行破綻などで金融システム不安が高まらないか。あるいは春闘でみられた賃上げ機運の高まりは広がりをみせるか。こうした変化を政策に反映する柔軟さが問われる。

 

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会談に臨む岸田文雄首相と日銀の植田和男新総裁(左)=4月10日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)

 

その際に心がけてほしいのは、分かりやすい情報発信である。黒田前総裁はサプライズで政策を変えることが多かった。日銀が昨年12月、唐突に長期金利の上限を引き上げたのが典型である。

 

サプライズは往々にして市場の大きな混乱を招く。とりわけ緩和から引き締めへと転じるか否かが関心を集める中で、疑心暗鬼が広がる事態は避けるべきだ。金融政策の方向性を明確に示し、予見可能性を高めることが政策への信任を高めることにもつながろう。

 

 

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2023年4月12日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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