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【主張】50年後に8700万人 人口減に多様な政策競え 高齢者も支え手になる社会に

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国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が将来推計人口を発表し、国勢調査を行った令和2(2020)年を起点とした50年後の令和52(2070)年の日本の総人口は、現在の7割まで減少して65歳以上の人口が約4割を占めると試算した。

 

2年の国勢調査で1億2615万人としていた外国人を含む総人口は、50年後に8700万人にまで減少するとみている。

 

人口減少が進む速度は緩和すると分析しているが、減少傾向に変わりはない。人口が減っても社会機能を維持し、一人一人が豊かさを実感できるような社会構造を実現するため、政策を総動員しなければならない。

 

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地方存続へ知恵絞ろう

 

岸田文雄政権は先に「次元の異なる少子化対策」の試案をまとめ、出産や子育てにかかる経済的負担の軽減のほか、育児休業給付の拡充を含む仕事と育児の両立支援などを打ち出した。優先順位を付けながら、粘り強く取り組む必要がある。

 

人口減社会は超高齢社会にほかならない。65歳以上の人口の割合(高齢化率)は、2年が28・6%だったのに対し、52年には38・7%にまで上昇する見通しだ。

 

過疎地を中心に税収減で地方財政が悪化し、これまで住民が受けてきた行政サービスが提供されなくなる恐れもある。財政事情が厳しくなる中で、高度経済成長期に集中的に整備された道路や水道などのインフラが老朽化し、その対策費用も重くのしかかる。

 

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人口減少に伴って商圏を失った地元のスーパーなどが相次いで撤退し、「買い物難民」が急増するなどの可能性もある。人口減少が社会・経済に与える影響は大きく、政府や自治体は危機感を持って対処しなければならない。

 

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こうした国難を乗り切るために重要なのは、労働生産性を高める取り組みだ。働き手が減っても成り立つ社会を構築するには、業務の効率化を促すDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる必要がある。

 

地方行政でも人工知能(AI)などを積極的に活用し、職員不足に備えてほしい。そうした知恵と工夫で新たな地域産業の創出などにもつなげたい。

 

そして年金、医療、介護など超高齢社会を支える社会保障制度の持続可能性を高めることも急務である。

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社人研は65歳以上の高齢者数のピークは25(2043)年に迎えると予想しており、今後、医療や介護の需要はますます高まる。公的年金制度は現役世代の保険料を高齢者の年金給付に充てる「賦課方式」を採用しており、支え手の現役世代が減って給付対象の高齢者が増えれば、年金財政が厳しくなるのは必至だ。

 

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社会の将来像早く示せ

 

超高齢社会でも耐えられる社会保障制度を確立するには、不断の改革を通じてその財政基盤を強化する必要がある。政府が全世代型社会保障制度改革の下で進めている、高齢者を含めて能力に応じて負担してもらう原則を徹底しなければならない。

 

人口減社会や超高齢社会は決して暗い話ばかりではない。現役世代の減少は、経験豊富で元気な高齢者が第二の人生で活躍する機会でもある。平均寿命が延びる中で65歳以上を高齢者と一律で定義するのを改め、旧来の高齢者のイメージを一掃したい。

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高齢者も支え手として積極的に社会に参加してもらう。そうした取り組みが、閉塞(へいそく)した日本の将来を活性化させる大きな契機になるだろう。

 

一方、今回の推計では留意すべき点がある。女性1人が生涯に産む子供の推定人数を示す「合計特殊出生率」をめぐり、平成29年公表の前回推計では、令和47(2065)年に1・44になるとしていたが、これを52年には1・36になると下方修正した。

 

それでも人口減少の速度が緩和すると予想したのは、外国人の入国者数から出国者数を差し引いた「入国超過数」が、年間6万9千人から16万4千人に急増すると試算したからだ。

 

だが、外国人の流入は国際情勢に左右される。状況次第で推計より人口減少が速く進む可能性があることも銘記すべきである。

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政府には、人口が大きく減っても豊かさを享受できる日本の将来像も早期に示してほしい。

 

 

2023年4月27日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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