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【主張】産総研の対中漏洩 情報保全の体制を盤石に

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権恒道容疑者が上級主任研究員として勤務していた産業技術総合研究所=茨城県つくば市(©産経新聞)

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先端技術の研究データを中国企業に漏(ろう)洩(えい)したとして、国立研究開発法人「産業技術総合研究所」の中国籍の研究員が、不正競争防止法違反(営業秘密開示)の疑いで警視庁に逮捕された。

 

技術の不正流出は経済安全保障上の国益を毀(き)損(そん)する恐れがある。ましてや、技術窃取が国際社会で批判される中国への漏洩だ。到底許されるものではない。

 

北京理工大の教授就任時の権恒道容疑者(北京理工大ホームページより)

 

経済産業省所管の機関が舞台となったのは特に深刻だ。男は産総研勤務の一方、中国人民解放軍と関係があるとされる「国防7校」の一つ、北京理工大教授にも就いていた。情報漏洩を警戒して当然なのにこれを許したのは、国家事業などに参画する公的機関としての危機意識の欠如を物語る。

 

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産総研の人材管理や情報保全に不備があったのは明らかだ。職員が海外政府の影響下にあるかどうかなどを洗い直す必要がある。再発を防ぐリスク管理体制の確立に向けて一から出直すべきだ。

 

逮捕された上級主任研究員、権恒道容疑者は平成30年4月、フッ素化合物関連の研究データを中国の化学品製造会社にメールで送った疑いがある。企業は約1週間後、このデータと似た内容の特許を中国で申請したとされる。

 

中国には企業に情報提供を強制できる国家情報法がある。漏洩したデータがその後、どう扱われたのかも含め、捜査当局には事件の全容を解明してもらいたい。

 

事件を受けて高市早苗経済安保担当相は閣僚懇談会で、各省庁所管の大学や研究機関に経済安保上の危機管理を徹底させるよう要請した。政府は最近、情報保全の規制を強めているが、適切に運用されているかどうかは別問題だ。民間企業も含めて情報管理を再点検し、体制を強化すべきである。

 

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高市早苗経済安保担当相(©産経新聞)

 

また政府は機密情報の取り扱いを官民の有資格者に限る「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」導入を検討中だ。身辺調査を受けた日本人のみに資格を与える制度だが、権容疑者のような外国人がアクセスできないよう国家機密を同制度で指定することは、情報保全の強化に有効だ。詳細な制度設計を急いでほしい。

 

日本にはスパイ活動そのものを摘発する法律がなく、防諜にあたる本格的な情報機関もない。不当な技術窃取を阻むためには、既存の法体系だけでなくスパイ防止法の検討も求められよう。

 

 

2023年6月23日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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