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【主張】北欧での聖典焼却 イスラム圏への非礼慎め

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コーランの焼却に対する抗議活動で、LGBTの旗を燃やす男性ら=6月30日、バグダッド(ロイター)

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北欧のスウェーデンやデンマークで、反イスラムデモ参加者がイスラム教の聖典コーランを燃やしたり、踏みつけたりして、イスラム諸国が強く反発している。

 

中東からの移民、難民の増加に伴う反イスラム感情の高まりが背景にある。イラクからの非イスラム教徒の難民がコーラン焼却に関わったケースもある。

 

コーランはイスラム教徒にとって大切な聖典だ。デモ隊がさまざまな主張を展開する自由は守られるべきだが、コーランを焼いたり毀損(きそん)したりする非礼は望ましくない。イスラム諸国の懸念払拭へ、スウェーデンとデンマークの当局は再発防止に努めるべきである。

 

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放置すればテロや過激な抗議行動を誘発し、スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟に悪影響をもたらす。

 

イラクではコーラン焼却に反発したデモ隊がスウェーデン大使館に放火する事件が起きた。イラク政府はスウェーデン大使を国外退去させ、「コーランが再び燃やされれば断交する」と警告した。トルコ政府も「卑劣な攻撃だ」と非難した。

 

スウェーデンのNATO加盟に反対していたトルコは7月、加盟容認に転じた。だが、コーラン冒瀆(ぼうとく)が続けば再び態度を硬化させる恐れがある。ロシアのウクライナ侵略が続く中で、欧州の安全保障を不安定化させかねない。

 

スウェーデンとデンマークでは、「表現の自由」を理由にコーラン焼却の規制に慎重な意見もある。だが、表現の自由の下であっても、多くの国で国旗損壊罪が存在し、取り締まられている。国旗以上に神聖なのがイスラム教徒にとってのコーランだ。コーランを損壊する過激な行為は取り締まればいい。

 

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コーラン焼却デモをめぐっては、ロシアが扇動しているとの見方がある。

 

スウェーデンのボーリン民間防衛相は「ロシア支援者が、聖典冒瀆の背後にスウェーデン政府がいるとの偽情報を拡散させている」と警戒感を示した。英紙ガーディアンは1月、スウェーデンでのコーランが焼き捨てられたデモの許可をとったのがロシア国営メディア「RT」の元記者だったと報じた。

 

スウェーデンのNATO加盟を妨害したいロシアの工作であれば言語道断で許されない。

 

 

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2023年8月11日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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