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【主張】そごう・西武売却 百貨店の未来像示せるか

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そごう・西武労働組合によるストライキで全館臨時閉館した西武池袋本店前でデモ活動、ビラ配りをする関係者ら=8月31日、東京都豊島区(松井英幸撮影)

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流通業界大手のセブン&アイ・ホールディングスが百貨店子会社のそごう・西武を米投資ファンドに9月1日付で売却した。

 

主力の西武池袋本店の売り場構成の見直しや雇用維持に不安を抱くそごう・西武の労組は売却に反対し、大手百貨店では61年ぶりのストライキを8月31日に実施した。同店は終日休業に追い込まれた。

 

労使対立が長引けば企業価値を毀損(きそん)し、顧客離れを招くばかりだ。経営陣は労組との対立を早期に収拾すべきである。

 

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百貨店業界は厳しい経営環境が続いており、店舗閉鎖の動きは地方から都市部まで広がっている。消費者の価値観が多様化する中、百貨店はどんな未来像が描けるのか。そごう・西武はその点を明確にしてほしい。

 

池袋の西武百貨店  (©rs1421 via Wikimedia Commons)

 

そごう・西武を買収した米投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」は池袋本店の土地を家電量販大手のヨドバシHDに売却することなどで経営再建を目指す。池袋本店をはじめとする複数の店舗を200億円以上を投じて改装し、競争力を高める考えだ。

 

フォートレスは「最大限の雇用維持に向け、そごう・西武の経営陣を支援していく」とコメントした。その言葉通りに雇用を守り、従業員の不安解消に努めてもらいたい。

 

セブンは昨年11月、フォートレス側と売却で合意した。だがその後、池袋本店の低層階にヨドバシが大規模に出店する改装計画が判明すると、地元の東京都豊島区や労組が「百貨店のブランド価値が失われる」と反発し、売却計画は延期を繰り返した。それでも売却方針が変わらなかったため、労組はストを決行した。労使協議が不調に終わったのは残念である。

 

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東急百貨店本店と文化施設Bunkamura (©ITA-ATU-via Wikimedia Commons)

 

新型コロナウイルス禍を背景に経営が悪化した百貨店はそごう・西武だけではない。今年1月には都心の東京都渋谷区にある東急百貨店本店が閉店した。日本百貨店協会によると、この20年あまりで国内の百貨店は4割程度も減少している。

 

業態拡大を目指してそごう・西武を買収したセブンは、専門店との競合で総合スーパー部門が低迷し、3月にイトーヨーカ堂の店舗を3割減らすリストラを発表した。インターネット販売が急拡大する中、小売業は顧客目線で新たな価値を創造する知恵と工夫が問われている。

 

 

2023年9月2日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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