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【主張】ジャニーズ会見 改革は社会の要請である

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性加害問題について会見する(左から)井ノ原快彦・ジャニーズアイランド社長、東山紀之・ジャニーズ事務所新社長=東京・丸の内(戸加里真司撮影)

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ジャニーズ事務所が記者会見を行い、一連の性加害を初めて認め、謝罪した。藤島ジュリー景子氏らが出席して社長を引責辞任し、後任に所属タレントの東山紀之氏が就任したと発表した。

 

会見中、涙も見せた藤島ジュリー景子前社長 =千代田区(高橋朋彦撮影) 

 

外部専門家による再発防止特別チームの調査報告と提言を受けての対応で、東山新社長は「法を超えた被害者救済」や「チーフ・コンプライアンス・オフィサーの外部招(しょう)聘(へい)」など改革を約束した。同氏はタレントを引退し社長業に専念する。「人生、命をかけて取り組む」と言い切った。

 

だが、懸念は拭えない。

 

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2019年7月、ジャニー喜多川氏の死去を伝えた街頭テレビ=東京・有楽町

 

ジュリー氏は社長を辞任しても当面は代表取締役にとどまり、100%株主の立場を変えない。被害者補償に専念するため、「そのほうが業務がスムーズに進むと判断した」と説明したが、同族経営の弊害は問題の核心部分だ。改革の実効性を妨げる要因になる恐れがある。

 

性加害を連想させる名を冠した事務所名の継続には、東山氏も適切性に疑問を示したが、ファンの愛着を重視して継続を選んだという。結局は過去やしがらみに引きずられ、改革を阻むのではと懸念を抱かせる。

 

特別チームが求めた「解体的出直し」には程遠い、と言わざるを得まい。ただ、調査報告から日数が浅く、東山氏が言う通り「まずは始めること」が大切だろう。同氏はメディアとの関係にも触れ、改革の進捗(しんちょく)について対話を重ね、相互理解を進めたいとした。被害者救済を担うジュリー氏は今後も継続して状況を説明する必要がある。

 

ジャニーズ事務所が性加害の事実を認めたことを受け、記者会見する歌手のカウアン・オカモトさん=9月8日午後、東京都千代田区の日本外国特派員協会

 

多くの男性タレントやアイドルを世に送り出してきたジャニーズはエンターテインメント文化の重要な担い手だ。もともと「偶像」や「崇拝される存在」を意味したアイドルは語源の通り、ファンに大きな影響を与える存在だ。人生の支えとなる場合もあるだろう。公共性の強い文化産業と自覚したい。

 

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だからこそ芸能事務所は人権やコンプライアンスに敏感になり、近代化を図ってほしい。社会の要請だと心得るべきだ。

 

東山氏は性加害を「人類史上最も愚かな事件」と切り捨て、事務所を「絶対権力者がおり、風通しは悪かった」と述懐した。自分が育った環境を会見で悪く言うのは心が痛んだろう。とりあえずスタート地点には立った。改革を進めたい。

 

 

2023年9月8日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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