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【主張】学生の海外留学 スポーツ界に手本がある

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米大リーグで日本選手初の本塁打王に輝いたエンゼルスの大谷翔平選手(共同)

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日本の科学技術、研究開発力の低落が長期化している。極めて深刻なのは、学生や若手研究者の海外留学、博士課程進学者が減少傾向にあり、次の時代を担う人材の先細りが危惧されることだ。

 

スポーツ界に目を転じてみよう。

 

ワールドカップ(W杯)でドイツ、スペインに勝利したサッカー男子、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)優勝の野球、自力でパリ五輪出場権を勝ち取った男子バスケットボールと男子バレーボール。チームの中心、主力には海外でプレーする選手がいる。

 

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世界のトップレベルを肌で感じ、言葉や文化の違いを超えて自己のプレーを確立した選手たちが、日本代表を「世界と戦える」チームに押し上げる原動力になった。

 

海外進出、国際交流の意義と効果は、科学研究もスポーツと同じだろう。国内の大学、研究機関への支援拡充はもちろん大事だが、日本再生に向けた最重要課題として、学生の海外留学、研究者の国際交流の活性化に取り組むべきだ。科学研究でも「世界と戦える」チームづくりを目指したい。

 

Yuta Watanabe

渡辺雄太選手(ロイター)

 

海外留学を望む学生が減少した大きな要因として、経済的負担と就職活動への支障があげられる。今の学生が「内向き志向」なのではなく、日本社会の現状に適応しようとした結果が「内向き」になったとみるべきだろう。官民の支援拡充で経済的負担の軽減、解消を図るとともに、就職・採用の慣行を見直す必要がある。

 

研究者への入り口にあたり学生が海外留学を考える時期でもある学部3、4年と修士課程の2年間は、その大半が就活の時期と重なる。これが留学を断念する要因となっているだけでなく、学生が研究に没頭する時間を就活に削られるという弊害も指摘される。

 

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就活期間の大幅な短縮、あるいは柔軟な採用方法をとることで、こうした弊害を解消しなければならない。海外留学や研究に没頭した経験は、企業にとってもプラスになるはずだ。企業ごとではなく産業界全体が「青田買い」の発想を捨て、「稲穂を大きく実らせる」採用形態を構築すべきである。

 

海外留学、国際交流の活性化は、科学研究分野の「大谷翔平」を育む土壌になる。

 

 

2023年10月29日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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