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【主張】コロナワクチン 国際連携で成果の共有を

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新型コロナウイルス感染が再拡大する中、世界では、治療薬や予防のためのワクチンの開発が急ピッチで進んでいる。

 

生命を奪い、経済や暮らしを極度に悪化させるパンデミック(世界的な大流行)を終息させるには、開発の成果に期待するほかない。日本政府もワクチンの開発支援や確保に全力を挙げてもらいたい。

 

特に開発時間の短縮は最優先課題だ。ワクチンの開発・製造は通常、10年前後の時間を要する。緊急性の高いコロナ禍では、これを短くするため、遺伝子などを用いて免疫を誘導する新しいタイプのワクチン開発が進んでいる。こうした国内外の開発の動きを積極的に後押しすべきである。

 

政府はすでに国内企業の開発に財政支援を行っている。

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加えて米国と英国の製薬大手から、それぞれ1億2千万回分の供給を受けることで合意した。一部は日本企業が製造を受託し、保管や配送も担って迅速に配布できるようにする。

 

世界を見渡せば、中国がワクチンを独自に開発し、これを世界の公共財にすると主張している。ただ、過度の中国依存がもたらすリスクを考えれば、日本が国内企業とともに欧米企業を安定的な供給元とするのは有益だ。

 

国内のワクチン準備と併せて進めるべきなのが、これを途上国に普及させる取り組みである。感染症対策は一国だけでは完結しない。日本で押さえ込んでも、海外で流行が続けば脅威はなくならない。開発できず、調達も難しい国々への支援が欠かせない。

 

安倍晋三首相が呼びかけた構想で、ワクチンの特許を共同管理する「特許権プール」は途上国支援の一つである。このほか、各国政府と民間の拠出でワクチンを共同購入し、世界に配分する枠組みを提唱した国際組織もあり、英国やカナダなどは構想への参加に前向きだ。日本も加わり、各国の幅広い協力を促してはどうか。日本の指導力が試される局面である。

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ワクチン開発では安全性にも万全を期さなくてはならない。新型コロナは感染状況が地域ごとに異なり、効果や副作用が違う可能性がある。ロシアが先に承認したワクチンは臨床試験の最終段階を省略しており、世界基準を逸脱している。こうしたワクチンの横行がコロナ禍の混乱に拍車をかけることがあってはならない。

 

 

2020年8月19日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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