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原発再稼働は喫緊の死活問題

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「ふくしま浜通り高校生会議」の提言書を受け取る岸田首相(中央)
=3月29日午後、首相官邸

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このところ、何かと原子力エネルギーについて考えさせられることが多い。3月29日には岸田文雄首相が官邸で、東電福島第1原発事故や廃炉問題、処理水の海洋放出などについて学ぶ「ふくしま浜通り高校生会議」の高校生と面会した。

 

「原子力の廃炉や処理水に関しての基礎的な知識を、全国の義務教育で取り入れていただきたい」

 

福島県磐城桜が丘高校2年生の町田暖稀(はるき)さんが要請すると、首相は「具体的にどうしたらいいか、ぜひ考えてみたい」と応じた。

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高校生が持参した提言書には、「情報を公開するだけでは情報を発信したことにはなりません」とも記されていた。首相には、この切実な思いを受け止め行動に移してもらいたい。

 

「ふくしま浜通り高校生会議」の提言書を受け取る岸田首相(右から2人目)=3月29日午後、首相官邸

 

きちんと国民の理解が深まれば、欧州連合(EU)欧州委員会に「(原発事故により福島の)多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ」と誤情報を発信した菅直人氏や小泉純一郎氏ら5人の元首相は相手にされなくなる。NHKが処理水について「汚染水」と呼称しても、風評被害が広まることは少なくなるだろう。

 

高校生の提言書には、こんな記述もあった。

 

「全ての責任は東京電力ホールディングス株式会社にあるとか、国策としての国に責任があるとか、責任の押し付け合いでは問題は解決しません」

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冷静な視点だといえる。高校の歴史教科書にすら「震災処理の不手際」と明記された当時の菅(かん)内閣の問題点は十分検証され記憶されるべきだが、いつまでも「悪いのは誰か」ばかりにとらわれていても仕方あるまい。大事なことは、これからどうするかである。

 

折しも22日には、福島県沖での地震で一部の火力発電所が停止していた上に気温の低下が重なった。政府は東電と東北電力管内で初の「電力需給逼迫(ひっぱく)警報」を出し、萩生田光一経済産業相は節電を呼び掛けた。

 

東京電力管内に発令された電力需給逼迫警報のニュースを伝える東京・有楽町の街頭テレビ=3月22日

 

「残念ながら、いわゆるブラックアウト(広域停電)を避けるために広範囲での停電を行わざるを得ない状況が近づいている」

 

幸い、国民の協力と他の電力会社からの電力融通で最悪の事態には至らなかったものの、危ないところだった。寒冷日が続く真冬だったらどうなったことか。

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さらに日本は、ウクライナに全面侵攻して日本を「非友好国」に指定したロシアへのエネルギー依存度を引き下げる必要があるが、天候に左右されやすい再生エネルギーの限界も明らかになっている。

 

結局、東電柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)など、停止している原発の再稼働しかないのではないか。

 

日経新聞の3月の世論調査では、再稼働を「進めるべき」(53%)が「進めるべきでない」(38%)を15ポイントも上回っていた。昨年9月の同紙調査では44%対46%だったものが逆転している。国民意識も変わり冷静になってきたのだろう。

 

スペースの関係で紙面には掲載していなかったが、安倍晋三元首相は3月25日の本紙インタビューで、再稼働について語っていた。

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「ベースロード電源としての原子力発電の重要性は、再認識されたと思う。安全性が確認されたところからは次々、再稼働していくべきだ」

 

再稼働をめぐっては、萩生田氏も「円滑に進むよう国も前面に立つ」と述べているが、政府与党には、波風が立ちやすい政策は夏の参院選後に先送りしようとする様子もうかがえる。

 

だが、エネルギー確保は差し迫った国民の死活問題であり、悠長に構える余裕はないはずである。

 

筆者:阿比留瑠比(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)

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2022年3月31日付産経新聞【阿比留瑠比の極言御免】を転載しています

 

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