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“Contracting for Sex in the Pacific War”を擁護する

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Comfort women

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慰安婦はみな合意契約をしていた。口約束の場合もあり契約書を交わした場合もあったが、合意契約がなければ慰安婦になれなかった。その契約が慰安婦と経営者の間で、どのように機能していたのか明らかにしたのが、ハーバード大学ロースクール教授マーク・ラムザイヤーがInternational Review of Law and Economicsに掲載した“Contracting for Sex in the Pacific War”の中身だ。これは、「慰安婦強制連行説」、「慰安婦性奴隷説」を根底から覆すものだ。

 

2021年1月にこの論文の電子版がエルセヴィアーから配信され、JAPAN Forwardの1月25日付記事「偽善と歪曲を斬る」で紹介された。すると2月になって、ハーバード大のアンドルー・ゴードン教授とカーター・エッカート教授が、ラムザイヤーが「学問的暗殺未遂」と呼ぶ行動を起こした。彼らは「ハーバード大学歴史学部アンドルー・ゴードンと東アジア言語文化学部カーター・エッカートによる声明」と題する声明を2月17日に出し、ラムザイヤーは性契約といいながら、契約書の実物を提示していないなどと批判し、論文の出版の差し止めを要求した。

 

これは的外れな批判だ。なぜなら、このような契約書の実物は私文書で、そこにはその女性のプライバシーが書かれていて、他の公文書のように公開することはできないからだ。しかし、朝鮮人女性やその親と朝鮮人周旋人や慰安所経営者の間の契約書や承諾書のひな型は、ラムザイヤーが註で示している日本の公文書のいくつかに見ることができ、存在することは疑いようもない。ほかの点でも、この2人は娼婦の婉曲表現である酌婦をそのままbar maidと理解するなど、日本語理解にさえ問題があった。

 

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彼らのあとを受けて、ハーバード大学ロースクール教授のジニー・ソク・ガーセンが『ザ・ニューヨーカーズ』のなかで、前述の2教授と他のフェミニスト系日本学者のラムザイヤー批判を紹介しつつ、ラムザイヤー論文を攻撃した。だが、彼女の非難も、他のラムザイヤー批判者と同じく、ラムザイヤーが註釈に入れた文献、とくに朝鮮人慰安婦の契約の内容を示しているUnited States Office of War Information作成のJapanese Prisoner of War Interrogation Report, No.49,1944を無視するなど問題の多いものだった。さらに問題なのは、韓国国民がどう反応するかを知りながら、一方的で不当な批判をSNSなどによって発信したことだ。

 

このあとに雪崩をうったように、われわれ日本人もよく知る韓国メディアの猛烈なバッシングが始まった。アメリカ屈指の名門ハーバード大学教授のものとはいえ、一本の学術論文であるにも関わらず、韓国の有力紙がすべて紙面を割いてバッシングし、テレビ局もこれにならった。SBSテレビなどは、1週間ほどのあいだ連日、論文が詭弁だとか妄言だとか、中身にはまったくふれないでバッシング報道を続けた。

 

これらのバッシング報道には、人格を貶めるようなデマを交えた攻撃も目立った。例えば、ラムザイヤーは三菱の冠講座の教授で、三菱からお金をもらってこの論文を書いたのだという報道があった。また、ある報道は「日本の右翼系の研究団体の役員名簿」に名前があるとも指摘した。以前書いた論文で部落や在日朝鮮人について差別的に扱っていたとも非難した。いずれも当該論文とは関係のない非難だ。

 

これにストローマン論法が加わる。これはいってもいないことをいったとして非難するやりかたをいう。いわく、ラムザイヤーは慰安婦を侮辱している。いわく、彼は幼児売春を勧めている。当該論文のどこにもこんなことは書いていない。

 

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2月下旬には、UCLA政治学部の学部長マイケル・チェも論文撤回を求める声明を出し、3月5日時点で、3000人を超える署名を集めたと主張した。チェ教授に私が聞きたいのは、彼自身と3000人を超える経済学者は、ラムザイヤーが註に挙げた日本語文献を読んだのかということだ。もし、ラムザイヤーが論文の根拠としたこれらの古めかしい、専門用語だらけの日本語を彼らが読めることが証明できない場合は、研究倫理に反したのは彼らのほうだということになる。

 

このようなラムザイヤー擁護論を私が『デイリー新潮』に連載し始めたのは、3月17日になってからだった。その後7回にわたって、とくに日本側の公文書(内務省文書、陸軍文書)に基づいて、ラムザイヤー批判者がいかに日本語文献を無視しているか、あるいは誤読しているかを明らかにした。そして、ラムザイヤー批判者が、自分のみを正義とし、SNSなどを使った誹謗中傷によってラムザイヤーを貶め、彼の辞職を要求し、彼から言論・学問の自由を奪おうとしたことを非難した。

 

これらの連載記事をベースとし、さらに数章を加筆し、“Contracting for Sex in the Pacific War”の日本語訳も加えて、『慰安婦はみな合意契約をしていた-ラムザイヤー論文の衝撃』をWAC出版から7月30日に上梓した。世界中の「慰安婦」研究者が、意見の違うものをヘイトメールなどで攻撃し、大衆動員して威圧するのは明らかに間違っている。この本が、公正な学問的議論によって、歴史の真実を追及する本来の学問の在り方に回帰するきっかけになればと願っている。

 

筆者:有馬哲夫(早稲田大学教授)

 

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