【主張】中高生の英語力 地域差分析し授業改善を
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文部科学省の令和5年度調査で英検3級相当以上の中学3年生と、準2級相当以上の高校3年生の割合が初めて5割に達した。
前年度よりやや向上したが、都道府県別、政令市別で大きな開きがある。地域差の要因を分析し、授業の改善に生かしてほしい。
政府は「使える英語力」向上を目指し、中学で英検3級相当(身近な英語を理解し使えるレベル)以上、高校で準2級相当(日常生活に必要な英語を理解し使えるレベル)以上の割合を、9年度までに60%以上にする目標を掲げている。
公立を対象にした5年度の調査で、英検3級相当以上の中3は50・0%、準2級相当以上の高3は50・6%と、前年度調査より微増した。
60%目標にはまだ遠く、地域差が大きい。差が顕著な中3の場合、都道府県別で好成績の福井83・8%に対し、佐賀は30・1%だった。政令市別では、さいたま市88・4%に対し、新潟市が36・2%と差がある。
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タブレット端末を使い、外国人講師と一対一で英会話をする生徒たち =2022年10月19日、茨城県守谷市立愛宕中(産経新聞)
格差の要因には教員の英語力と指導法が挙げられる。福井県やさいたま市では英検準1級相当以上の教員の割合が全国平均より高い。授業中も生徒と英語でやり取りする時間が長い。また福井県では教員間で効果的な指導法を共有する取り組みがあるという。
さいたま市では小学1年から独自の英語教育を行い、中学を含めた英語の授業時間が多い事情もある。他の自治体が全て、まねするわけにはいかないだろうが、文科省は研修の拡充や効果的な指導事例の紹介など、さらに工夫してほしい。
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2023年春の東京都立高校入試で初めて合否判定に活用される英語スピーキングテストが都内197会場で実施された。英語スピーキングテストに臨む生徒ら =東京都内(都教育委員会提供)
日本の英語教育は受験目的に偏り、実際に使えないという問題が指摘されていた。文科省は2年度以降、小学校からの英語教育を本格化し、英会話力などコミュニケーション重視の改革を進めてきた。しかし、結果的に地域差が広がっている現状を重く考えるべきだ。
英語は使う環境や目的がなければ身につきにくいとされる。小学校からの英会話の塾通いなど、早期化を焦っても身につくとはかぎらない。
国際化の進展で英語力が求められるものの、話す中身が肝心だ。コミュニケーションの土台は読解力であり、それは確かな国語力に支えられていることも忘れてはならない。
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2024年5月31日付産経新聞【主張】を転載しています
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