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世界遺産・興福寺は平城遷都(710)にともない、現在の場所に移築され1300年の時を重ねています。
中世には大和一国を支配する権勢を誇り、また文化・芸能・食の発展においても重要な役割を果たしました。特に能楽や清酒(醸造技法)の進歩に大きく貢献しています。戦国時代になると衰退の兆しを示しますが、それでも21,000石という知行を維持し面目を保ちます。しかし、幕末から明治維新時にかけての興福寺は神仏分離や廃仏毀釈の影響を受け、伽藍の大半を失いました。明治初年には無住(住職不在)、そんな逸話も残る苦難の時代でした。
現在の興福寺は、境内地約2万5千坪を有し、「天平の文化空間の再構成」を合言葉に、享保(1717)の大火で失われた中金堂の再建(2018年落慶)をはじめとし、仏像や堂塔の保存修理を精力的に行っています。来年度からは明治三十三年(1900)以来の五重塔修理にも着手いたします。
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1月29日(日)17:00~の令和アカデミー倶楽部JAPAN Forward時事講座・文化編は、「世界遺産・興福寺五重塔令和大修理」第4回(最終回)。守り伝えられた堂塔、文化財(国宝仏像所蔵件数日本一)、教学について語ります。
興福寺の宗派は?宗祖は?境内の広さは?国宝の数は?全て答えれる人はさほど多くはないでしょう。法脈はインドから中国を経て連綿とつながり、西遊記で知られる玄奘三蔵に宗(法相宗)の原点があります。また宗祖は玄奘三蔵の弟子にあたる慈恩大師という方です。
奈良時代にもたらされた唯識の教え(興福寺の教学中心)は、伽藍繁栄(明治時代以前までは北は奈良県庁や裁判所、南は奈良ホテル近辺までが寺域であった)とともに、ますます興隆します。そしてそのことを象徴する空間が境内北西にある北円堂です。堂内に安置される弥勒如来、無著・世親菩薩像は、法相教学を体系化したことで知られ、興福寺の精神的根幹であるだけではなく、三尊とも国宝に指定される貴重な宗教財です。
対面・オンラインのハイブリッド開催です。オンラインは7日間、アーカイブ視聴ができます。お申込みは令和アカデミー倶楽部の以下のリンクから。
対面(定員20名)
https://reiwa-academyclub.jp/course/post/2278/
オンライン
https://reiwa-academyclub.jp/course/post/2279/
■辻明俊(常如院住職/興福寺境内管理室長)
1977年奈良県生まれ。2000年、大谷大学文学部仏教学科卒業、興福寺入山。2004年から広報・企画事業などに携わり、現在に至る。2011年、一生に一度しか受けることを許されない「竪義」を無事に終え、2012年から興福寺・常如院住職。2014年、興福寺・執事に就任。2017年からは境内管理室長も兼ねる。
【著書】『お坊さんに聞く108の智慧』(共著 藝術学舎) 2017年 『興福寺の365日』(単著 西日本出版社)2020年