Unsettling Japanese Art at Suntory Museum of Art 001

Onoe Kikugorō Meiji period, dated ca.1875 Suntory Museum of Art 【On display throughout the exhibition period】

尾上菊五郎 一枚 明治8年(1875)頃 サントリー美術館 【全期間展示】

 

コロナ禍で美術館の運営も展示も大変なのはどこの国も同じ事ですが、なかなか外国に行けない今こそ、日本美術を新たな視点で楽しもうと言う展示がサントリー美術館で行われています。その名も「ざわつく日本美術」です。

 

貝尽蒔絵硯箱 小川破笠 一合 江戸時代 18世紀 サントリー美術館【全期間展示】

 

笙 銘 小男鹿丸 行円 一管 鎌倉時代 建保3年(1215) サントリー美術館【全期間展示】

 

日本人でも「こりゃなんだ?」と思うような表現の章立てになっています。

 

第一章は「うらうらする」、英文説明はBehind the Behind—Let’s See the “Other Side” of the Work!
第二章は「ちょきちょきする」 Snip, Snip—Cut Up and Reconfigured?
第三章は「じろじろする」Take a Closer Look—Surprising Discoveries Await!
第四章は「ばらばらする」Take It Apart—What if You Dismantle a Work?
第五章は「はこはこする」Box, Boxes, Boxed—Secrets of the Containers for Works
第六章は「ざわざわする」Unsettling—“Beautiful” Doesn’t Make It Art

 

美術展でこのような構成や標記は今まで見た事がなく、あまりにユニークな視点に驚かされました。個人的にも本当に楽しく作品を見られたので、担当学芸員の久保佐知恵さんにこの展示を企画した理由を聞いてみました。

 

袋法師絵巻(部分) 一巻 江戸時代 17~18世紀 サントリー美術館【全期間展示】

 

久保さんは、日本美術のことが気になるけれど、あと一歩踏み出せない方に向けて、遊び心をもって作品に触れて頂き、それで動く自分自身の心のざわめきに耳を澄ませてほしい、と呼びかけているそうです。

 

実際に来場者が写真をSNSにアップし、「こんな楽しさがある」「へえ、こんなものがあるんだ!」と盛り上がっているそうです。仕掛け人としてはしめしめというところでしょうか。美術作品を新しい視点で楽しむことは本当に大切だと思います。

 

美術作品のこんな楽しみ方を教えてくれるサントリー美術館に大拍手です。これにヒントを得て、様々なアート作品の違った楽しみ方を見つけてみてはどうでしょうか。コロナ禍でも微笑みが溢れる時間が持てそうです。

 

代表的な展示品とその「楽しみ方」が公式サイトに詳しくあります。本展覧会は829日まで。

 

サントリー美術館©Tatsuyuki Tayama

 

著者:渡辺幸裕

 

 

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