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ソウル中心街の西大門(ソデムン)交差点から少し行ったところに「西大門独立公園」というのがある。史跡になっている「独立門」のほか旧西大門刑務所が歴史館として残されており、市民や児童生徒たちの重要な歴史教育スポットになっている。
公園内には「殉国先烈追念塔」という祭壇付きの大きな造形物があって、背景には抗日独立運動史の場面を刻んだ横長の大きな石のレリーフ(浮き彫り)が設置されている。場面は8つでその中に「義兵(独立運動家)の処刑」があるが、これが実はデタラメだという指摘が出ている。基になった写真は、実は日本や独立運動とはまったく関係のない韓国内における悪質犯罪人の処刑場面というのだ。
この公共施設での“歴史歪曲(わいきょく)”を伝えているのは朝鮮日報13日付(朴鍾仁(パク・ジョンイン)記者)で、「独立運動史ではこうした誇張や扇動が事実のように検証抜きで断定されてきた」と自己批判している。
これは筆者(黒田)も以前から実感している。たとえば中国大陸の軍閥による犯罪者に対する公開斬首写真というのを、韓国メディアは「日本軍による韓国独立運動家処刑場面」として大々的に報道したため、産経新聞の紙面でそのウソを暴いたこともある。
韓国では日本による加害の歴史を強調したいためこうした“歴史偽造”が頻繁に行われてきた。近年、いわゆる徴用工問題では無関係な日本人の写真が教科書や博物館で使われ、そのニセ写真をモデルに“徴用工像”が制作されてもいる。
筆者:黒田勝弘(産経新聞ソウル駐在客員論説委員)