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文部科学省は次世代の国産基幹ロケットについて、打ち上げたロケットの一部を回収して使い回す「再使用型」で開発する方針を固めた。5月12日に同省で開いた有識者会議で、令和12年ごろの初打ち上げを目指すなどとする工程表案を報告した。機体を繰り返し使うことによって1回の打ち上げコストを25億円程度まで大幅に下げ、国際競争力を高めることが狙い。
工程表案では、8年ごろに小型機による飛行実証実験を行い、12年にも1号機の打ち上げを実施。その後は確立した技術を民間に提供し、22年ごろには民間主導の再使用型ロケットによる宇宙旅行や大陸間高速旅客輸送などの実現につなげるとしている。来月の会議で承認され、国の宇宙基本計画に反映される見通し。
政府系の衛星などを打ち上げる役割を担う日本の基幹ロケットは現在、機体を1回しか使えない使い捨て型だ。主力のH2Aロケットは打ち上げ費用が約100億円、今年度の打ち上げを目指す新型のH3は約50億円と高額で、海外からの衛星打ち上げ受注を阻害していると指摘されている。
そのため次世代は1段目のロケットについて、打ち上げ後に分離してからもエンジン噴射の調節などで高度に姿勢を制御し軟着陸させ、再び使用することを前提に開発する。1段目部分は主エンジンを搭載しているため再使用すればコスト圧縮効果が高く、1号機の打ち上げ費用はH3の半額程度となる見通しという。
その後は再使用部分を2段目などにも拡大。また、民間に技術を提供して宇宙飛行などのビジネスを促進しロケットの打ち上げ機会を増やすことや、部品の共通化によってもコストダウン効果を高め、22年ごろには打ち上げ費用をH3の10分の1に当たる5億円程度まで下げたい考えだ。
再使用型ロケットは、米宇宙企業スペースXが既に実用化に成功。国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を輸送する宇宙船の打ち上げなどにも使われている。日本でも宇宙航空研究開発機構(JAXA)が小型の実験用ロケットを高度約100メートルまで打ち上げ、直立姿勢のまま再着陸させる研究を進めている。