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旧ソ連やロシアが放射性廃棄物を日本海に投棄していることが国際社会で問題になったことがある。そのため国際調査団が日本海の汚染状況を現地調査したのだが、その調査団に加わった韓国の研究者が後日、思い出話を新聞に寄稿していた。そこで彼が印象的だったと書いていたのが「海は広かった」だった。
汚染が確認されなかったということもあったようだが、海上での長期間の調査活動を経験することで、陸上で考えるのとは違って海の広大さをあらためて実感したというわけだ。
今、韓国では東京電力福島第1原発処理水の海洋放出をめぐって大騒ぎしている。処理水が太平洋を一回りしていずれ韓国周辺に流れてきて魚が汚染されるから「怖い」というのだ。先の研究者は日本海を調査して「海は広かった」とため息(?)をついたのだが、福島処理水が拡散される太平洋は日本海の100倍以上の広さだ。
筆者:黒田勝弘(産経新聞ソウル駐在客員論説委員)
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2023年5月29日付産経新聞【から(韓)くに便り】より