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2025年大阪・関西万博の誘致段階から参画し、開幕が1年後に迫ったことは感慨深い。ここに至るまでに社会の状況変化もあり、万博開催への批判もあったが、会場工事も進んでおり、希望の持てる万博になるのではないか。
課題の一つである機運醸成は、入場券販売とコインの裏表のように密接な関係になっている。入場券収入の大半は会場運営費に充てられることになっており、万博を安定的に運営するためにも、さらに万博の機運を高め、しっかりと販売していかなくてはならない。パビリオンの入場予約が始まるのに合わせて、今年9~11月には重点的に広報活動を展開する。
万博は会場となる夢洲(ゆめしま)(大阪市)のパビリオンや催しだけでなく、万博を核にした夢洲にとどまらない関連プロジェクトが拡大している。経済的な効果だけでなく、文化的な部分でもポジティブな効果が期待できる。
万博開催による経済波及効果については、民間シンクタンクのアジア太平洋研究所(大阪市)が、最大で3兆3667億円に達するとの試算を発表している。関西全体が成長するため、各府県が万博をベースに地元の活性化を進めることが重要となる。
万博に向けて、関西ではインフラを含めた基盤整備が進み、スタートアップ(新興企業)支援や、次世代移動サービス「MaaS(マース)」の取り組みなどいろいろなアイデアも出ている。関西だけでなく、日本全体の活性化に結びつくことを期待したい。
さらに、万博を目前に、JR大阪駅北側の再開発地域「うめきた2期(グラングリーン大阪)」が9月に先行まちびらきを迎える。イノベーション(技術革新)の拠点として新たなビジネスや技術の創出が期待されており、万博との相乗効果も見込めるだろう。
万博会場の工事の進捗については、海外パビリオンの建設遅れなどで懸念も出ているが、建設会社の協力もあり、大屋根(リング)や国内パビリオンの建設は順調に進んでいる。
リング内のパビリオンは、リングがつながること(で工事車両などが出入りしづらくなる事情)もあり、少なくとも10月中旬までに完成させる必要がある。日本国際博覧会協会が出展者と密にコミュニケーションを取り、完成に向けた便宜を図らなくてはならない。
聞き手:井上浩平(産経新聞)