プライム・ビデオでの「風雲!たけし城」の復活版配信が発表された場には、
〝城主〟の北野武さんも姿を見せた=3月30日(提供写真)
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過去にテレビで人気を集めたバラエティー番組や企画が、インターネット動画配信サービスで復活している。Amazon Prime Videoは3月、30数年前に人気を集めたTBSの「風雲!たけし城」の新作制作を発表。Netflixでも、同局でかつて放送された「未来日記」のシーズン2の配信を控える。人気コンテンツが配信に場を移す背景には、TBSが進める世界戦略があった。
「たけし城復活! いいですねえ。毎週本当に楽しみに見てましたよ」
戦略や今後のラインアップを説明するため、3月に行われた「Prime Video Presents Japan」。新作の制作が発表されると、メイン司会を務めたお笑いコンビ「くりぃむしちゅー」の上田晋也さんは興奮を隠さなかった。会場には「城主」の北野武さんも姿を見せ、発表に花を添えた。
「風雲!たけし城」は、昭和61年から平成元年まで放送されたアクション系バラエティー番組。一般参加者が賞金をかけ、たけし城を攻め落とすため、飛び石が点在する池を走り抜ける「竜神池」、不安定な吊り橋を渡る「ジブラルタル海峡」をはじめとする数々の難関に挑戦する様子が人気を集めた。
番組は「Takeshi's Castle」などの名前で米国や英国、オーストラリア、南米など150超の国で放送され、海外でも大ヒットした。現地のキャストや出場者によるフォーマット版も各国で作られた。
来年に配信予定の復活版のタイトルは、Amazon Original「復活!風雲!たけし城(仮題)」。内容や予算の詳細は発表されていないが、TBSが制作を担当する。
TBSはなぜ、テレビ放送ではなく、ネット配信という形を選んだのか。総合編成本部DXビジネス局DX戦略部の渡邉真二郎部長は「たけし城の海外での人気は今でも続いている。グローバルなプラットフォームがある時代なので、世界に配信することを目的に取り組んでいる」と説明する。
動画配信サービスには、TBSホールディングスが株主となっている企業が運営する「Paravi(パラビ)」があり、Prime Videoは競合相手となるが、「Paraviは国内サービス。AmazonやNetflixと組めば、世界にTBSのコンテンツを届けられる」(渡邉部長)。
「種まきの時期」
ほかにも、TBSで過去に放送された人気コンテンツの新作が、動画配信サービスを通じて全世界に発信された例がある。
それは、昨年12月から全世界で独占配信され、5月17日にシーズン2が始まるNetflixシリーズ「未来日記」。このコンテンツは、TBSで放映されたバラエティー番組「ウンナンのホントコ!」内で放送された恋愛リアリティー企画だった。「風雲!たけし城」と同じく海外で支持された実績があり、Netflixという世界的なサービスで提供される形になったという。
平成27年にフジテレビの新作ドラマが放送に先駆けてNetflixで配信されるなど、TBS以外の民放キー局でも、海外の大手動画配信サービスにオリジナル作品を提供した例がある。人気長寿番組「はじめてのおつかい」がNetflixで人気を集める日本テレビは今後、海外配信用の番組開発・制作にも積極的に取り組んでいくことを明らかにした。
こうした潮流で、積極的に海外展開を図るTBSで、渡邉部長がロールモデルとして挙げるのが韓国のスタジオドラゴンだ。同社はNetflixで配信されて世界中でヒットし、日本でも社会的人気を集めたドラマ「愛の不時着」を手がけた制作会社で、世界的な知名度を誇っている。
TBSは将来像をどう描いているのか。渡邉部長は「よりスケールの大きい作品を作りやすい環境になるためには、ファンが世界中にいなければならない。今は種まきの時期だと思っている」と語った。
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2022年5月5日産経ニュース【メディアインサイド】を転載しています