Sado gold mines UNESCO 005

Sado Kinzan gold mines, nominated for UNESCO registration as a World Cultural Heritage Site. (©Sankei)

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「佐渡島の金山」(新潟県)を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録するため、推薦書を提出しなくてはならない2月1日の期限が迫っている。

 

ところが、政府内では推薦の見送りを検討しているという。憂慮すべき状況だ。政府はぶれずに推薦すべきである。

 

朝鮮半島出身者が過酷な労働に従事したとして韓国が反発しており、令和5年の登録が見込めないというのが見送りの理由だ。改めて6年以降の登録を目指す考えだが、その判断は間違いである。

 

推薦を見送れば、韓国の誤った主張を認めることになる。韓国側はますます登録阻止への意を強くするだろう。それで6年以降の登録が果たせるというのか。

 

 

木原誠二官房副長官は21日、「韓国側の主張は全く受け入れられないと、韓国側に強く申し入れた。韓国内での事実に反する報道も極めて遺憾だ」と述べた。ならば堂々と推薦すればよい。

 

文化審議会が昨年末、5年の登録候補とした。採掘から製錬まで伝統的な手工業で行われ、17世紀には世界最大級の産出量で江戸幕府の重要な財源となった。

 

韓国外務省は「朝鮮半島出身者が強制労働させられた被害の現場だ」などとして即時撤回を求めている。言いがかりも甚だしい。

 

申請対象は、あくまでも「江戸時代まで」だ。韓国が問題視する戦前、戦中とは時期が異なる。

 

そもそも強制労働の現場だったとする認識自体が事実誤認だ。昭和15~17年に朝鮮半島出身者約1千人が佐渡金山で働いていた事実はあるが、給与などは支払われていた。江戸時代までと区切らなくても、韓国には理がない。

 

 

政府は昨年、朝鮮半島出身者の強制労働の有無について「募集、官斡旋(あっせん)及び徴用による労務は、強制労働には該当しない」との答弁書を閣議決定した。推薦を見送れば、これの否定にならないか。

 

政府は、韓国が慰安婦資料の登録を目指した「世界の記憶」(世界記憶遺産)に関連し、関係国が合意しない限り、申請しないという制度改革を主導した。だが、世界文化遺産に同様のルールはなく見送りの理由にはならない。

 

政府がなすべきは、事実に基づき韓国の主張に反論し、国際社会の理解を得ることだ。ここで禍根を残すようなら、岸田文雄政権の対韓外交にも疑問符が付こう。

 

 

2022年1月24日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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