2023 budget National Security Strategy

Television news reporting the launch of a ballistic missile by North Korea with the image of an earlier launch. November 2, 2022 (Seoul, © Kyodo)

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北朝鮮が、弾道ミサイルの発射を異常なペースで繰り返している。日本への実際の攻撃を抑止する上で、反撃能力保有の必要性が一段と明確になった。

 

11月3日に北朝鮮は弾道ミサイル6発を発射した。いずれも日本海の日本の排他的経済水域(EEZ)の外に落下し、船舶に被害はなかった。うち1発は大陸間弾道ミサイル(ICBM)で飛行に失敗した模様(もよう)だ。

 

2日には日本海や黄海に向け、20発以上の短距離弾道ミサイル、地対空ミサイルを発射している。うち1発は韓国側が海上の軍事境界線とする北方限界線(NLL)を越え、公海に着弾した。

 

米韓両国は北朝鮮の脅威に備える合同軍事演習を実施中だ。北朝鮮はこれに猛反発しているが、同国の弾道ミサイル発射は国連安全保障理事会決議違反であり、絶対に認められない。北朝鮮は、安保理決議に従って核・ミサイル戦力を放棄すべきである。

 

3日のICBM発射が失敗であれば、北朝鮮はミサイルの性能や軍の練度向上のため再び発射するかもしれない。近く核実験に踏み切るとの観測もある。警戒は怠れない。

 

北朝鮮のミサイル発射を報じるテレビ画面を見る宮城県職員=11月3日、宮城県庁(共同)

 

2日には韓国の一部で空襲警報が発令された。3日には日本政府が全国瞬時警報システム(Jアラート)で宮城、山形、新潟各県に対し、堅牢(けんろう)な建物や地下への避難を呼びかけた。

 

防衛省が日本列島を飛び越える可能性があると判断した物体は、実際には日本海上空で消失し、同省は情報を訂正した。日本と北朝鮮の距離が極めて近いことも考慮に入れなくてはならない。

 

Jアラートは、国民に危険が迫る恐れがあればためらわずに発令すべきで、今回の対応は間違っていない。防衛省は萎縮(いしゅく)しないでもらいたい。

 

金正恩朝鮮労働党総書記(朝鮮中央通信=ロイター)

 

独裁体制維持のために北朝鮮は自国民の生活を顧みず、核・ミサイル戦力の強化に走っている。独裁者が命令すれば、多数のミサイルが日本に向けて放たれるだろう。ミサイル防衛に努めても、全てを撃墜するのは難しい。

 

暴発を防ぐ外交努力は常に必要だが、北朝鮮には道理が通じない場合が多い。日本を攻撃しようとすれば、自分たちにも多大な被害がもたらされると侵略国に認識させる反撃能力を自衛隊が備え、抑止を図るべき時代になった。

 

 

2022年11月4日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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