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北朝鮮がロシアに供与した弾道ミサイルや砲弾が、日々、無辜(むこ)のウクライナ人を殺傷している。
このような不法かつ非道な露朝の軍事協力を、国際社会はあらゆる手段で食い止めなくてはならない。
北朝鮮の崔善姫外相がロシアを訪問し、16日にプーチン大統領と会談した。
露大統領報道官は会談に関し、「北朝鮮は重要なパートナーであり、機微なものも含め、あらゆる分野で関係発展を目指す」と述べた。
プーチン、崔の両氏がさらなる軍事協力を協議したことは疑いない。プーチン氏の訪朝も調整された可能性がある。
ロシアはウクライナ侵略の不調を受け、北朝鮮との関係を急速に深めた。
昨年9月には北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が露極東の宇宙基地でプーチン氏と会談し、「重大な問題と協力事項での満足な合意」を得た。金氏は戦闘機の製造工場も視察した。
ロシアは侵略戦争で不足する武器・弾薬を、北朝鮮はミサイルや戦闘機、偵察衛星に関する先端技術を得る思惑だ。
米国の分析では、昨年9~10月にコンテナ千個分以上の弾薬などが北朝鮮からロシアに運搬された。北朝鮮が弾道ミサイルや発射装置をロシアに供与し、昨年末から年始にかけての大規模なウクライナ空爆で使われたことも確認された。
北朝鮮との武器や軍事技術の取引は、国連安全保障理事会の決議で禁止されている。露朝の行動は明白な違反行為だ。北朝鮮がロシアから先端軍事技術を得れば、日本の安全が一層脅かされることを重く受け止めなければならない。
ロシアはウクライナ侵略でイラン製の攻撃ドローン(無人機)も大量に投入している。ロシアが北朝鮮、イランとの軍事的な協力を深め、中露が拒否権を持つ安保理は機能しない。
この現実を前に、とるべき道は日米韓など自由・民主主義諸国の結束強化しかない。抑止力を高め、対露、対北などの制裁をさらに強化し、拡大することである。無法に結託する勢力を野放しにしてはならない。
ウクライナを支える決意も固め直すべきだ。露朝イランなどが地域を超えて動いている以上、自由・民主主義諸国もしかるべく行動する必要がある。
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2024年1月21日付産経新聞【主張】を転載しています