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政府が女性活躍や男女共同参画の重点方針「女性版骨太の方針2024」を決め、地方の中小企業で働く女性の待遇改善や、地域活動における女性の参画支援を盛り込んだ。
地方では特に若い女性の流出が深刻だ。出生数の減少により、多くの自治体が消滅する可能性も指摘されている。女性の活躍を地方に広げることは重要であり、政府は積極的に、各種施策を進めてもらいたい。
女性版骨太では、政府が日本商工会議所や全国商工会連合会などと連携し、地方や中小企業における女性の活躍例を把握するとともに、それを周知・啓発していくとした。待遇改善に向け、厚生労働省など関係機関による中小企業を対象としたコンサルティングなども行う。
全国各地にある中小企業は企業全体の9割以上を占め、雇用の約7割を支えている。政府が重点方針の一つに「地方や中小企業における女性の登用推進」を掲げたのは妥当だろう。
政府は、現在は従業員300人超の企業に義務付けている男女の賃金格差の公表を100人超の企業に拡大する検討も盛り込んだ。また、役員候補となりうる女性人材のデータベースをさらに整備し、各地の商工会議所などで積極活用する。
地方における女性起業家の育成にも取り組む。全国各地でネットワークを構築し、支援者と女性起業家をつなぐプログラムを行う方針だ。
待遇を含めた職場の意識改革も重要だ。とくに地方では「家事や育児は女性が担うもの」とする性別役割分担の意識が根強いとされる。政府は「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)の解消に向けて啓発に取り組む」とした。確実に実施してもらいたい。
男女の賃金差は依然大きい。先の国会では従業員への残業免除を就学前の子供に広げるなどの「改正育児・介護休業法」が成立したが、制度の利用が女性に偏るようでは賃金差の是正は望めない。
職場と同様に、地域社会における女性参画の裾野を積極的に広げていく必要がある。例えば防災会議の委員や自治会の担い手は、著しく男性に偏っているのが実情である。女性の参加が進み、その視点が生かされることは、住みやすい町づくりにもつながるはずだ。
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2024年6月28日付産経新聞【主張】を転載しています