China

Japanese FM Yoshimasa Hayashi meets with Wang Yi, a member of the CCP Politburo and China's top diplomat, at the Diaoyutai State Guest House in Beijing on April 2. (© Kyodo)

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日本政府が、中国・北京で行われた日中外相会談について、成果があったと表明した。いったい何を考えているのか。

 

伝えられる会談内容からは、日本側の懸念は何一つ解消されていないことが分かる。

 

容疑事実が明らかにされずに拘束されている日本人の解放は1人もなかった。会談の間を含め、中国海警局船が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本領海に侵入し続け、過去最長を記録した。

 

林芳正外相が「台湾海峡の平和と安定」の重要性を指摘しても、秦剛国務委員兼外相は「台湾問題への介入は許されず、どのような形であれ、中国の主権を損なってはならない」と述べ、聞く耳を持たなかった。

 

ロシアとの連携を含む日本周辺での中国の軍事活動活発化や南シナ海問題でも、中国側から行動を改めるという表明はなかった。

 

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中国の秦剛国務委員兼外相(右端)と会談する林芳正外相(左端)=4月2日、北京の釣魚台迎賓館(共同)

 

にもかかわらず、松野博一官房長官は4月3日の会見で、日中両外相が日中韓3カ国での首脳や外相レベルの対話再開で一致した点について「重要な成果だ」と語った。

 

隣の経済、軍事大国である中国と2国間で、意思疎通を図ることは必要だ。

 

そうであっても、中国に対して今、日本が伝えるべきは、中国の強硬姿勢は決して受け入れないという強い意志と憤りである。日中韓対話の再開まで図って、それを喜んでみせるようでは困る。日本が伝えた要求の本気度を中国側に疑われるのがおちだ。

 

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中国の李強首相(右)と面会する林芳正外相=4月2日、北京の中南海(代表撮影)

 

林氏は、習近平国家主席に次ぐナンバー2の李強首相や外交担当トップの王毅共産党政治局員とも会談した。お偉方と会談できて喜んでいる場合でもない。日本の国民と領土・領海・領空、国益、地域の平和を守るために、政治生命をかけて談判する必要がある。

 

そのようなやり取りをしたのであれば、その一端を明らかにしてもらいたい。日本の立場を伝えたといわれるだけでは、心もとない限りである。

 

外交はタイミングも重要だ。岸田文雄首相のキーウ訪問と習氏のモスクワ訪問が重なり、日本は中国と対照的な国の姿を世界に示せた。折しも、中米訪問中の蔡英文台湾総統の米国への立ち寄りが注目されている。そのような時期に日本の外相が北京を訪問したことは、日台分断を図れたと中国を喜ばせたのではないか。

 

 

2023年4月4日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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