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次期戦闘機の共同開発をめぐり、日英伊3カ国が開発の司令塔となる機関を設立する条約を結んだ。
条約は承認のため1月26日召集予定の通常国会に提出される。日本が同盟国米国以外の同志国と協力して主要装備品を開発するのは初めてだ。航空自衛隊のF2戦闘機の後継で、令和17年の配備開始を目指している。
日英伊政府の国際機関は本部を英国に置き、6年度中に発足させる。初代トップは日本人が就任する。日英伊の共同企業体(JV)も結成され、トップにはイタリア人が就く。
次期戦闘機の共同開発は日本防衛にとって極めて重要だ。
英伊両国は北大西洋条約機構(NATO)の主要構成国だ。次期戦闘機は英伊に加え、他のNATO諸国の空軍機にも採用される可能性がある。
製造や能力向上に日本が関わる戦闘機が、世界最大の軍事同盟であるNATOの主要装備になれば、日・NATOの安全保障関係は格段に深まる。日本の抑止力、外交力を強化する。
開発には、部品調達を含めれば、日本の1000社以上が関わる見通しだ。専門人材を育て、技術革新や国内の防衛産業の底上げで、日本の経済力の向上にもつなげたい。
条約は次期戦闘機の第三国への輸出の可能性が重要だと記した。英伊は第三国輸出を予定している。開発に数兆円の費用がかかるため、輸出でコスト低減をはかる狙いがある。輸出先国との安保関係を堅固にするメリットも大きい。
一方、日本は自ら、第三国輸出の道を閉ざしている。与党協議で公明党が輸出緩和にブレーキをかけているからだ。このままでは日本は開発の主導権を握れず、国益を損なう。
条約署名後の会見でシャップス英国防相は「欧州やインド太平洋のリスクは明白だ。世界での日本の立ち位置を考えると、見直す時期が来ている」と述べ、第三国輸出に足踏みする日本に苦言を呈した。
政府は与党に対し、国際共同開発した装備品の第三国輸出緩和について2月末までに結論を出すよう求めた。友好国への主要装備の輸出は仲間の国を増やし、望ましい安保環境の創出に寄与する。公明は現実的な平和主義に転じ、輸出緩和に同意すべきである。
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2024年1月22日付産経新聞【主張】を転載しています