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A China Coast Guard ship intrudes into Japanese territorial waters, approaching within approximately one kilometer of Uotsuri Island, Ishigaki City, Okinawa on the morning of April 27. (© Sankei by Naoki Otake)
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1万4千余の島々で構成されるわが国は、領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせた海洋面積は国土面積の11倍以上、約447万平方キロメートルに及ぶ世界第6位の海洋大国だ。
その海がもたらす豊かな資源と美しい自然は、後世に引き継ぐべき大切な財産だ。その恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の一層の繁栄を願う日が、7月16日「海の日」である。
明治9年、東北・北海道巡幸を終えた明治天皇が巡視船「明治丸」で横浜港に帰着された「7月20日」に由来する。平成7年に制定され、その後の法改正で現在の7月第3月曜日となった。
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だが、その広大な海域の安全は近年、脅かされ続けている。四国南方の海底にある大陸棚「四国海盆」の海域では先月、中国の海洋調査船が無断でブイを設置した。
この船は、昨年7月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖のEEZ内に無断でブイを設置したのと同じ海洋調査船だった。中国は尖閣諸島周辺の日本領海への侵入も繰り返している。一方的に海域開発を進めて権益を主張しようとする行為を、許してはならない。
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わが国固有の領土にもかかわらず、韓国による不法占拠が続く竹島(島根県隠岐の島町)周辺の海域では6月、韓国政府が海洋調査を3度も実施した。本来、韓国には日本に事前に通報し、同意を得る義務がある。日本政府は中止を求め、韓国外務省に抗議したが、韓国は独自の立場に基づき応答した。
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政府は繰り返し「遺憾の意」を表明しているが、それだけでは海域の安全は守れない。海洋権益拡大を狙い、あえて無法を繰り返す蛮行に毅然(きぜん)と対応すべきだ。海域を守るとは、国家主権と安全を守ることである。
宮城・気仙沼の歌人、熊谷龍子さんは「森は海を海は森を恋いながら悠久よりの愛紡ぎゆく」と詠んだ。海と森の恵みは相互作用の上にあり、わが国の豊穣(ほうじょう)な海と自然豊かな国土は、それらを大切に守り、育ててきた先人たちが積み重ねてきた営みの上にある。
その美しい国を守る責務は政府と国民にある。
海の恩恵に感謝し、「海を守る」決意を改めて、国民一人一人が新たにする。それが「海の日」だ。
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2024年7月15日付産経新聞【主張】を転載しています