Africa Food Crisis Kenya 20220512

Young girls pull containers of water as they return to their huts from a well in the village of Lomoputh in northern Kenya Thursday, May 12, 2022. Russia's war in Ukraine has affected millions of impoverished people who are going hungry in Africa, the Middle East and parts of Asia. (AP Photo/Brian Inganga.)

ケニア北部の村で井戸から水を運ぶ少女たち。
ウクライナ戦争はアフリカや中東で飢えに苦しむ
多くの貧しい人々に影響を与えている=5月12日(AP)

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「最後の成長フロンティア」であるアフリカを舞台に、中国やロシアは無謀な融資を行い、治安を請け負うなどで影響力を強めている。

 

強権統治を蔓延(まんえん)させる両国の手法は看過できない。米国などと連携し、対抗せねばならない。

 

北部チュニジアで27~28日開催される第8回アフリカ開発会議(TICAD8)は日本が主導し、アフリカ諸国の首脳が参加する貴重な外交のツールである。日本の存在感を明確に示すべきだ。

 

エチオピアを訪問したロシアのラブロフ外相(中央)=7月27日(AP)

 

バイデン米政権は先ごろ、アフリカのサブサハラ地域(サハラ砂漠以南)との関係強化に向けた米国の新戦略を発表し、中露両国のアフリカへのアプローチに対して明確に警戒感を示した。

 

中国には「商業的、政治的利益追求のため透明性や開放性を踏みにじっている」と指摘した。

 

ロシアに対しては「ウクライナ侵略をめぐる反対意見を弱めるため、経済や安保のつながりを利用している」と批判した。国連総会などの投票では先進国もアフリカの小国も同じ1票を持ち、国際世論への影響力は無視できない。ロシアに対するアフリカからの非難の声は少ない。

 

ロシアのラブロフ外相は、ウクライナからの穀物輸出再開のめどがたった7月末にアフリカを歴訪し、食料危機はそもそも米欧の対露制裁が原因と説いて回った。

 

ウクライナ産穀物が搬出できなくなったのはロシア軍の黒海封鎖が原因であり、ラブロフ氏の主張は虚偽である。アフリカ諸国は食料危機の最大の被害者だ。

 

モザンビークの湿地で田植えを指導するJICAの専門家(左) =2018年1月(JICA提供)

 

日米が実現を目指す「自由で開かれたインド太平洋」は、アフリカ大陸の東岸に及ぶ。アフリカでの強権や腐敗を排除し、法の支配を貫かなくてはならない。

 

アフリカ諸国との会議は現在、中国、韓国なども有するが、日本のTICADが最初で、1993年以来、8回目の開催となる。

 

物足りないのは、日本国内も含めて会議の認知度が低いことだ。アフリカは援助より投資促進の時代である。会議をビジネスの機会と明確に位置付け、官民挙げて盛り上げてもらいたい。

 

アフリカ諸国にとり喫緊の課題が食料危機の克服であることは間違いない。新型コロナウイルス感染による岸田文雄首相の欠席は残念だが、オンラインで力強いメッセージを送ってほしい。

 

 

2022年8月23日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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