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巨大なIT企業に対する規制法が2月1日、施行された。取引先企業や利用者に対し、不当な事業活動を行っていないかを日常的にチェックする仕組みを整備する。
インターネット通販やスマートフォン向けのアプリ販売などを展開するIT企業が対象だ。
違反行為を事後的に取り締まる独占禁止法では、対応に時間がかかりすぎるため新法を制定した。
ただ、今回は巨大IT企業に取引条件などの情報開示を通じ、自主的な改善を促すのが主な目的である。すでに欧州連合(EU)では高額な制裁金を科す規制強化を進めている。新法では対象企業が少なく、規制の実効性が大きな課題となる。バイデン米政権も巨大IT企業に対する規制強化に乗り出す構えで、日本も実態に応じた規制の見直しが欠かせない。
1日施行の「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」は、日本国内での売上高が3千億円以上のネット通販や2千億円以上のスマホアプリ販売を営む企業を規制する。米アマゾン・コムや楽天、米グーグル、米アップルなどが対象となる見通しだ。
ネットサイトなどを運営する巨大IT企業に対し、契約条件を開示するように求めたり、出店規約の変更に事前告知を義務づけたりする。出店事業者に自社サービスの利用を促す場合、その理由も明示するように求める。苦情対応などの体制も整備させるという。
来春からは経済産業相への報告を義務化する。取引先などからの苦情件数やその対応なども報告させ、違反が見つかった場合には企業名の公表や改善を命令できる。情報の開示を命じることで自主的な改善を求める狙いだが、規制としては緩すぎないか。
今回の新法には、どのような取引が違反なのかという具体例は示されていない。IT企業や経済団体の反発に配慮したためだ。規制の実効性を高めるには、禁止事項を定め、それに違反した場合には一定の制裁を設けるなどの厳しい措置も検討すべきだ。
巨大IT企業に厳しい規制を相次いで講じたEUでは、事前の行為規制を定める新法も模索中だ。国境がないIT企業の規制には海外当局との連携が不可欠だ。日本も海外の動きを注視して具体的な法規制を講じてもらいたい。
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2021年2月1日付産経新聞【主張】を転載しています