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Court Battle Over Comfort Women Film Taints Japanese University’s Research Ethics Record

(慰安婦問題を扱った映画をめぐる法廷闘争?問われる日本の大学の研究倫理)

 

世界にも知られる日本の私立大学、上智大学(東京都千代田区)でいま、同大の研究倫理と大学院生への指導の在り方が揺らぐ問題が持ち上がっている。

 

同大に在籍していた大学院生が慰安婦問題をテーマにした映画を制作。出演者たちが、制作者側にだまされたとして映画の制作者や大学側に対し、映画の上映差し止めや損害賠償などを求めて裁判をおこす事態となっているためだ。

 

なぜ、そうした事態になったのか―。英語ニュース・オピニオンサイト「JAPAN Forward」(JF)は6月4日、この問題を詳細に報じ、問題の原因に迫った。上の英文(日本語訳)は、その記事の見出しである。

 

映画のタイトルは、『主戦場-The Main Battleground of the Comfort Women Issue(慰安婦問題の主戦場)』だ。

 

記事によると、上智大学グローバル・スタディーズ研究科の大学院生だったノーマン・ミキネ・出崎氏(映画の公式プログラムではミキ・デザキ)は2016年5月から17年2月にかけて、同氏が「歴史修正主義者」と呼ぶ8人のコメンテーターたちに接触し、研究の一環で映画制作をするとしてインタビューを申し込んだ。

 

8人は、外交評論家の加瀬英明、テレビタレントのケント・ギルバート、ジャーナリストの櫻井よしこ、「新しい歴史教科書をつくる会」の藤岡信勝、「テキサス親父」として知られるトニー・マラーノ、同日本事務局長の藤木俊一、「なでしこアクション」の山本優美子、衆院議員の杉田水脈の各氏で、全員がインタビューに応じた。

 

ところが、8人のインタビューは、独断的な主観による編集を経て、映画『主戦場』となり、18年10月、韓国の第23回釜山国際映画祭を皮切りに、新型コロナの緊急事態になるまで世界各国で上映された。日本でも19年4月20日から一般公開が始まり、20年1月末までの9カ月間、異例のロングラン作品となった。

 

インタビューを受けた人たちは出崎氏と配給会社、東風を相手取り、映画の上映差し止めと損害賠償を求めて提訴。さらに、研究倫理によって守られるべき研究協力者の人権を侵害しているとして同氏と指導教官の中野晃一教授を告発する事態へと発展した。

 

上智大学はこれを受け、調査を開始。JFの問い合わせに16日、「規程に基づいて本件の対応を行っており、コメントは差し控える」と回答した。

 

記事を執筆したJF解説委員のアール・キンモンス大正大学名誉教授は、映画を見た感想として「バランスを欠いた内容に加え、冗長で浅薄だ。出崎氏は、この問題についての重要な学術研究すらも取り上げていない」と述べた。

 

さらに、キンモンス教授は、日本の学術研究の評価を損なうことになる懸念があるとし、「日本の研究は倫理欠如にあるというような誤解、偏見を許してはいけない。そのためには、日本で最も国際化が進んだ大学である上智大学こそが規範を示すべきである」と強調した。

 

映画はすでに欧米諸国などで上映され、歪曲(わいきょく)された情報が拡散されている。歪曲情報を世界に発信するために、上智大の研究費や日本の国税が使われているとしたら、問題はさらに大きくなるだろう。JFは、この問題に対する大学側の対応を注視していきたい。

 

(JAPAN Forward編集部)

 

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※「日本を発信」シリーズは、産経新聞のオピニオン面に掲載された記事を転載しています。

 

 

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