Vladimir Putin, Dmitry Peskov

Kremlin spokesman Dmitry Peskov, bottom, looks on as Russian President Vladimir Putin speaks via video call during a news conference in Moscow, Russia, Thursday, Dec. 17, 2020. This year, Putin attended his annual news conference online due to the coronavirus pandemic. (AP Photo/Alexander Zemlianichenko)

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EDITORIAL | Putin's Press Secretary Lashes Out at Sankei Shimbun Over Stolen Territories Article

(【主張】露大統領報道官 産経新聞を「読むな」とは)

 

 

先月のことだが、ロシアのペスコフ大統領報道官が北方領土の日本返還を求める本紙の主張を「極論だ」と断定し、読むには値しないメディアだと切り捨てた。ロシアのイズベスチヤ紙(電子版)が3月3日付でそう伝えていた。

 

その際、同紙が引用したのが英語ニュース・オピニオンサイト「JAPAN Forward」(JF)だった。

 

ロシアが「領土の割譲禁止」を明記した憲法改正を昨年実施したことを受け、JFは2月9日に本紙の主張を英語で掲載。もはやプーチン露大統領との交渉はやめて、北方領土問題の国際化を図ることで北方四島の返還をロシアに迫る戦略に転換すべきだと日本政府に求めた。JFの記事を読んだロシア人記者がそのことを尋ねて、大統領報道官が激しく反応した。

 

お人よしの日本政府をだまして、領土交渉なしに仲良くしようともくろんでいたロシアからすれば、それを邪魔するメディアは「極端な連中」であり、「読んではいけない」メディアなのだ。

 

しかも、北方領土は、ソ連の独裁者スターリンが終戦直後、日ソ中立条約を一方的に破って丸腰の四島を火事場泥棒的に奪取した。日本固有の領土をいまも不法占拠しているロシアにとっては、不都合な歴史の真実がそこには書かれているからなおさらである。

 

そんな本紙とロシアの“領土対立”を明らかにしたのが3月16日、JFが掲載した上の英文(日本語訳)の見出しの記事(本紙は同10日掲載)だ。記事は、日本政府が「領土抜き平和条約」を策謀するプーチン政権との交渉を一刻も早くやめよと重ねて訴えた。

 

メディアを「過激」や「極論」呼ばわりするのは共産政権時代からの宣伝戦の一環だ。

 

かつて筆者(内藤泰朗・JF編集長)が本紙特派員としてモスクワに駐在していた際、当局から呼び出され、書いた記事について、「過激」「極論」「事実に反する」と批判されたうえに、特派員ビザの延長を認めないこともあると脅かされたことを思い出した。ロシアの体質は変わらない。

 

中国は、新型コロナウイルスの感染拡大の発生源にもかかわらず、その事実を隠蔽(いんぺい)して発生源があたかも外国であるかのように情報を操作する。一方、マスク外交やワクチン外交で正義の味方のふりをしているのは周知の事実である。

 

中国共産党が今年7月に結党100年を迎える中、習近平国家主席は自らの権力基盤強化と体制維持のため、不都合な真実は覆い隠し、情報を歪曲(わいきょく)し、嘘や偽りを“真実”に仕立て上げる情報戦争をより強めてくるのは間違いない。

 

日本は自らの意思にかかわらず、中露両国と欧米世界の新たな対立の波にのみ込まれていくことになる。日本はこれまで以上に、中露などと虚々実々の情報戦争を戦うことになるのだ。

 

そんな激動の時代を迎える中、JFは、国益の名のもとに情報操作する中露の不都合な真実を明らかにしていくことで、日本から議論を呼び起こしていきたい。

 

(JAPAN Forward編集部)

 

 

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※「日本を発信」シリーズは、産経新聞のオピニオン面に掲載された記事を転載しています。

 

 

 

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