[Mythbusters] Naomi Osaka Doesn’t Need to ‘Give Up’ U.S. Citizenship to Play for Japan
(【神話を斬る】大坂なおみは東京五輪日本代表としてプレーするのに米国籍を離脱する必要はない)
日米両国の国籍を持つ女子テニス界のスター、大坂なおみ選手が22歳の誕生日を前に日本国籍を選択する手続きを行ったことに、先月、世界は注目した。米CNNは「東京五輪のために大坂なおみ日本国籍選択」と伝え、英BBCも「世界3位の大坂なおみが五輪で日本代表となるために米国籍を離脱」と報じた。
しかし、JAPAN Forward(JF)解説委員のアール・キンモンス大正大学名誉教授は、自ら日本国籍を取得した経験をもとに、それらは誤解を招く報道であると主張する。上の英文(日本語訳)は、10月12日にJFに掲載された同名誉教授による論評の見出しだ。
論評ではまず、日本も従っているオリンピック憲章が「同時に2つ以上の国籍を持つ競技者は、どの国を代表するのか、自身で決めることができる」と規定していると指摘し、大坂選手は日本代表となるために米国籍を離脱する必要はない点を強調した。
そのうえで、日本が正式には多重国籍状態を認めていないものの、実際には、人々が2つの国籍を持つことは可能であること、一方の国籍を離脱しなかった場合の罰則もない点など日本の実情を紹介した。
その一方で、米国で2010年に外国の銀行口座を保有する人に対する監視や規制が強化されたことで、米国籍を離脱する人が急増している事実や、自身の経験も踏まえ、米国籍を離脱する手続きが複雑で時間とお金、忍耐が必要とされる意外な実態を明らかにした。
特に、大坂選手のように高額所得者は、米国の所得税を回避するためではないこと、米政府が支払うべきだと考える税金のすべてを彼女が支払っていることを米政府に納得させなければならないなど、実に「面倒で時間と費用のかかるプロセスだ」と指摘する。
大坂は確かに「2020年東京五輪に日本代表として出場するために日本国籍を保持することを選択した」と述べている。しかし、論評では、それ以外の動機がある可能性についても言及している。
1つ目は、日本はほとんどの国と同様に海外に住んでいる国民の所得には課税せず、日本国籍は課税面で米国より有利である点だ。2つ目は、大坂のスポンサーの多くが日本企業であり、日系アメリカ人であるよりも日本人である方が魅力的である可能性が高い、という理由である。
教授は最後に、「私は、もともと米国で生まれ米国籍を保持していた帰化日本人として、米国籍より日本国籍を選択する人々に拍手を送りたい。東京五輪をはじめとするテニストーナメントにおいて、日本代表の日本人として大坂なおみが活躍することを期待している。私は自分が選んだ祖国を誇りに思う。そして、大坂なおみが私たちの誇りとなることを願っている」と締めくくった。
JFは、日本国籍を選択した〝新しい日本人〟たちを歓迎するとともに、彼らの視点も世界に発信していきたい。
(JAPAN Forward編集部)
※「日本を発信」シリーズは、産経新聞のオピニオン面に掲載された記事を転載しています