Racist ‘The Times of London’ Article Hits UK Military Rugby Team and RWC2019 Host Country Japan
(差別主義的な英タイムズ紙が英軍ラグビーチームとラグビーW杯開催国の日本を攻撃)
アジアで初開催となったラグビーのワールドカップ(W杯)は、開催国・日本の躍進で大いに盛り上がっている。だが、そんな盛り上がりに水を差すようなラグビー関連の記事が先月18日、英紙タイムズに掲載され、関係者にちょっとした波紋を広げた。
W杯と同時期に、防衛省が主催した「国際防衛ラグビー競技会」に参加するため、訪日していた現役の英軍人のラグビーチームが靖国神社を参拝した。第二次大戦を戦った日英両国の和解と新しい時代の到来を象徴する出来事となるはずだった。
ところが、同紙はこれを「英軍ラグビーチームが日本の戦争犯罪人のための神社を訪れる」と悪意に満ちた見出しで報道。ポール・マデン駐日英国大使が、A級戦犯が合祀(ごうし)される神社への参拝をチームに注意し、念のため今後は日本で神社の参拝を避けるよう注意したと報じたことから物議を醸した。産経新聞も同報道を転載する形で伝えた。
JAPAN Forward(JF)の解説委員、アール・キンモンス大正大学名誉教授が早速、記事内容を精査し、論評記事を執筆した。上の英文(日本語訳)は、9月22日にJFに掲載された論評の見出しだ。
「私が見た中でも、日本について最も露骨に差別的な記事のひとつだ」。そう始まる論評は、まず2つの誤りを指摘した。
1つは、靖国神社が「戦争犯罪人のため」のものであるという主張だ。靖国神社は1869年、戊辰戦争(1868―1869)で亡くなった人々を追悼して建立された。「戦争犯罪」という概念は存在しなかった時代だと指摘した。
次いで、在日英国大使館の報道官が9月20日、「大使はいかなる人に対しても日本の神社を訪れないよう指示したことはない」と異例の談話を発表し、明確にタイムズ紙の報道を否定したことを紹介。同教授は「今風に言うとフェイク・ニュースだ」と断定した。
さらに、欧米メディアが靖国神社を批判する際に持ち出すA級戦犯の合祀についても、①「A級戦犯」は政治犯罪で起訴された②東京裁判(極東国際軍事法廷)が「勝者の正義」に基づいている―などの理由から、欧米にも批判の根拠が薄いと考える専門家たちがいる点を強調した。
教授は「著者の日本特派員、リチャード・ロイド・パリー氏だけでなく同紙が疑わしい記事を書くのは初めてではない。このような露骨に偏った記事が故意以外のものであるとみるのは難しい」と結論づけて、「日本関連の企業などは、より友好的な広告の掲載先を探すべきだろう」と締めくくった。
SNS上の読者からは、英記者のインチキと歪曲(わいきょく)を非難する投稿が多くあったが、「(記事が)差別主義的だとは思わない」との意見もあった。一方、「(靖国参拝した)英軍のラグビーチームを尊敬する」という声も複数あった。
ラグビーは英国で生まれたスポーツである。だが、人の善意を悪意で伝える英紙の記事には、ラグビーが最も大切にしている相手へのリスペクト(尊敬の念)はどこにも見当たらない。
(JAPAN Forward編集部)