Japan Mustn’t Be Fooled by Beijing’s Propaganda Blitz
(日本は北京の宣伝工作に騙されてはならない)
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前回扱った中国・武漢発の新型コロナウイルスは、瞬く間に世界に拡散した。世界のメディアは人類が目に見えぬ未知のウイルスとかつて経験したことのない戦争に突入したと表現する。
実際、イタリアやスペインなど欧米諸国では、医療現場が野戦病院と化し、崩壊の危機に追い込まれている。今夏開催されるはずだった東京五輪は、来年への延期が決まった。
世界の大都市が封鎖される中、東京でも爆発的な感染者急増の懸念に、「東京封鎖」が選択肢に上る。
前代未聞の事態を受け、英語ニュース・オピニオンサイト「JAPAN Forward」(JF)がこの1週間に発信した記事の実に約4割は新型コロナウイルスに関するものだった。
上の英文(日本語訳)は3月19日に掲載された記事の見出しだ。櫻井よし子さんのコラム「疑わしい習政権の情報」(3月2日付本紙)を英訳して転載したものである。
記事は、習近平政権の維持を命題とする中国政府が発する情報は基本的に虚偽であり、日本が中国政府の嘘と捏造(ねつぞう)の事実を明確に否定する情報を発信することが重要だと強調した。そのうえで日本は、基本的価値観を共有する米国とともに、中国的価値観を退けていくべきだと訴えた。
中国政府は、ウイルスの発生源が中国国内ではなく米国であるかのような発信をしている。WHO(世界保健機関)は、新型コロナウイルスを「COVID‐19」と名付けたが、櫻井さんは「武漢ウイルス」と呼ぶ。中国による捏造を許さないためにも、明解な方がいいだろう。
日本国際問題研究所のモニカ・チャンソリア上級海外フェロー(インド)は、「この20年間、生物兵器開発に注力する中国の軍事研究」と題する記事(3月25日付)を寄稿。中国の研究者たちが、圧倒的な国力を持つ米国に非対称の戦いを挑むため、生物兵器に焦点を絞って研究を進めてきたという背筋の寒くなるような実態を暴露した。
さらに、中国の独立系経済メディア「財新(Caixin Global)」によると、中国の研究所は昨年12月末、感染力が強く謎に包まれた新病原体(COVID‐19)を特定、その後、研究の中止と病原体の破壊、情報の非公開を当局から命じられたという。
加えて、中国政府は、ヒトヒト感染を3週間以上認めなかった。財新は、証拠を提示しながら、政府による情報隠蔽(いんぺい)が感染拡大を食い止める機会を逸し、パンデミックという結果を招いた原因だと結論付けた。
中国政府は、生物兵器の開発を否定している。だが、ウイルスで世界を大混乱に陥れた中国が一転、「ウイルス制圧に成功した」として今度はイタリアやスペインに援助の手を差し伸べて“コロナ外交”を展開し、「救世主」を演じている。
世界経済に破壊的な危機をもたらすとも予測され始めた武漢発ウイルスとの戦いは、まだ始まったばかりである。
JFのアリエル・ブゼット記者は、祖国イタリアの悲惨な現状に心を痛めながらも日本から情報発信に全力を挙げている。JFは、“戦争”の行方を日本の視点で世界に伝えていきたい。
(JAPAN Forward編集部)
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※「日本を発信」シリーズは、産経新聞のオピニオン面に掲載された記事を転載しています。