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Students Speak Out on G7 Hiroshima Summit: Like Ukraine, Taiwan Is Important Too

(学生たちがG7広島サミットに直言:ウクライナのように、台湾も重要だ)

 

 

昨夏、凶弾に倒れた安倍晋三元首相の昭恵夫人が先々週、台湾を訪問した。台南で開かれた安倍晋三写真展や高雄市内の寺院に建立された安倍氏の像を視察し、台湾の人たちと親交を深めるためだ。英語ニュースオピニオンサイト「JAPAN Forward」(JF)は一行に同行した。

 

通常の視察旅行のはずだった。だが、出発日は祝日にもかかわらず、台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表がわざわざ空港で昭恵夫人を見送った。台北では、台湾当局が空港に出迎えてパトカーが先導してホテルに直行。JF(記者)の部屋にまで、蔡英文総統のサイン入り歓迎カードとお土産が置いてあった。

 

Shinzo Abe
台湾南部高雄市の紅毛港保安堂に建てられた安倍晋三元首相の銅像(© Robert D Eldridge)

 

それからが大変だった。昭恵夫人の部屋は、保安要員が警備に当たった。移動は、複数のパトカーが先導する車列で行われ、新幹線や食事の席も警備要員が少し離れて警戒していた。

 

台北や高雄、台南と行く先々で、台湾メディアが昭恵夫人を待ち構え、取材でごった返していた。訪台中で唯一、地元メディアが追いかけてこなかったのは、台北郊外の山上で、台湾軍が管理する李登輝元総統の墓にお参りをしたときだけだった。

 

各都市では、昭恵夫人を歓迎する数百人規模の昼食会や晩餐会(ばんさんかい)が連日開かれ、台湾の政治家や財界人らが集い、安倍元首相を偲(しの)んだ。会場では、『千の風になって』『花は咲く』といった日本の曲が流れていた。

 

総統府を表敬訪問した昭恵夫人は、蔡英文、次いで頼清徳、正副総統に個別に面会。蔡氏が「安倍氏は台湾にとって最も重要な友人の一人だ」と述べ、安倍氏に感謝したのに対し、夫人は「訪問先で温かい気持ちに触れることができた」と礼を述べ、「主人の遺志を継いで今後の日台関係の発展に尽力したい」と強調した。面会は合わせて1時間近くに及んだ。

 

台湾の蔡英文総統(右)と安倍昭恵夫人(台湾総統府提供)

 

「安倍首相が台湾の“恩人”だとはいえ、民間人の昭恵さんをここまで接遇したのには正直驚いた」「昭恵さんは、国賓のようにもてなされて大変だったが、夫の分まで大切な仕事をしたのでは」…。同行した人たちの感想である。

 

実際、昭恵夫人は、挨拶(あいさつ)の度に笑顔で、時に涙を浮かべながら感謝の言葉を述べ、安倍元首相のメッセージを夫に代わり台湾各層の人たちに伝え続けた。

 

台湾で学ぶ日本人留学生たちとの交流会があった。「主人と同年代の人たちは(主人の死に)肩を落としていますが、皆さんは奮起してください。日本人の誇りをもってください。皆さんたちのような若い人たちが日台の懸け橋になってください。それこそが主人の喜ぶことだと思います」と激励していた。

 

留学生たちは、今回の旅を準備した「台湾安倍晋三友の会」(陳唐山会長)が台湾で集めた奨学金を給付されていた。彼らの目は輝き、各々(おのおの)が「日台の懸け橋になりたい」と話していたのが心に残った。

 

台湾の蔡英文総統と会談する安倍昭恵夫人=7月19日(台湾総統府提供)

 

いつの世も時代を動かすのは若者たちの力だ。上の英文(日本語訳)は、JFでインターンをする国際教養大学の学生さんが書いた記事の見出しである。G7広島サミットについて、同大の留学生たちに取材してまとめたものだ。「台湾有事は日本の有事」。安倍元首相が遺(のこ)したこの言葉は、日台を超えて世界に広がっているのが記事からも読み取れる。

 

「一粒の麦は、落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ」。これは聖書の一節だが、安倍氏の蒔(ま)いた種は着実に育っている。

 

JFも若者と奮起し、日本を世界に発信し、全力で前進していきたい。

 

筆者:内藤泰朗(JAPAN Forward編集部)

 

 

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2023年7月31日付産経新聞【JAPAN Forward 日本を発信】を転載しています

 

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