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ロシアによるウクライナ侵略で、ロシアの凶暴な振る舞いや領土拡大の野望が明白になり、欧米や日本でもそれを疑う人は少なくなった。しかし、多くの人は今も、その最大の理由はプーチン大統領の独裁政治だと思っている。それは間違いである。
もちろん、プーチン氏が、ひたすら領土や支配領域拡張を目指すという意味で、「帝国主義」的な野望を持っていることは疑いようもないだろう。ただ、プーチン体制のみが諸悪の根源だと思ってしまうとロシアを見誤る。ロシアを論じるうえでは、国民の中の帝国主義的な意識を無視してはならない。
なぜそう言えるのか。ロシアにおけるプーチン大統領の支持率の推移を見るといい。彼の支持率は常に高い数字だが、中でも特に上がった時期がある。1回目は、2014年にロシアがクリミア半島を併合した後、2回目は22年にウクライナに対して全面侵略を始めた後だ。ロシアでプーチン氏を基本的に支持していない人でも、領土拡張は支持することがわかる。
筆者:グレンコ・アンドリー(国際政治学者)