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キリンビールは4月2日、17年ぶりとなる新しいビールブランド「キリンビール 晴れ風」をに発売した。東北産の希少ホップを使うことなどで、飲みごたえを残しながら雑味や苦みを抑え、普段ビールを飲まない若年層にも飲みやすい味わいに仕上げた。同社の主軸ブランド「一番搾り」と並ぶ新たな柱に育て、ビールの酒税が下がる昨年の酒税改正以降、盛り上がるビール市場のシェア獲得を急ぐ。
ブランド名の「晴れ風」は、世の中に良い風を吹かせたいという思いで名付け、パッケージも爽やかな色味で映えるデザインに仕上げた。麦芽100%で、華やかな香りが特徴のホップ「IBUKI」を使用し、風味を保つ熱処理を加えた。味わいや苦みが嫌いという理由で普段ビールを飲まない若年層も取り込めるよう、開発には若手社員も加わり、飲みやすさにこだわることで、後味の苦みやコクが特徴の一番搾りとの差別化を図った。
3月26日に開催された商品発表会で、堀口英樹社長は「一番搾りに次ぐ第2の柱に成長させ、キリンビールの新定番にしていきたい」と意気込んだ。「晴れ風」の350ミリリットル缶の想定価格は225円前後で、一番搾りと同じ価格帯に設定。初年度に一番搾りの缶の3割程度にあたる430万ケース(1ケース大瓶20本換算)の販売を目標に掲げた。
昨年の酒税改正によるビール市場拡大を見越し、ビール大手各社はスタンダードカテゴリと呼ばれる350ミリリットル缶で220円前後の商品領域に主軸ブランドに次ぐ新商品を投入するなど力を入れている。
アサヒビールは令和3年9月に主力のスーパードライに次ぐブランド「アサヒ生ビール(通称マルエフ)」、昨年10月にはアルコール度数が低い「ドライクリスタル」を発売。サントリーも3年4月に糖質ゼロの「パーフェクトサントリービール」、昨年4月に他社製品より割安な「サントリー生ビール」といった新商品を相次いで投入すれば、サッポロビールも糖質やプリン体を70%低減した「サッポロ生ビール ナナマル」を昨年10月に売り出すなど競争は激化している。
筆者:村田幸子(産経新聞)