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A scene from the animated movie "Hula Fulla Dance" (© BNP, FUJITV / Oshare Salon Natsunagi)
アニメ映画「フラ・フラダンス」のワンシーン
(©BNP,FUJITV/おしゃれサロンなつなぎ)
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「フラ・フラダンス」(総監督・水島精二)は、フジテレビによる東日本大震災の被災地支援プロジェクトから生まれたアニメーション映画。この映画で、アニメの声優に初挑戦したのがディーン・フジオカ(41)。「やらない理由がない作品」と語るそのわけは-。
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フジテレビは、被災地支援の一環として「ずっとおうえん。プロジェクト2011+10…」と銘打ち、岩手、宮城、福島の3県それぞれを舞台にしたアニメ作品を3本作った。作品の舞台をファンが訪問する〝聖地巡礼〟が、長期的な観光支援につながるだろうというもくろみだ。
そのうちの1本が、この「フラ・フラダンス」。福島県の温泉施設のダンシングチームの新入社員、夏凪日羽(なつなぎ・ひわ)が主人公の青春物語。日羽は震災で、人気ダンサーだった姉を亡くしていた。
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フジオカは、日羽があこがれる先輩社員、鈴懸(すずかけ)涼太の声を演じた。声優はこれが初挑戦。鈴懸は重要な場面で登場し、物語の要所を締める。
「声優は、まだ経験したことのない声の使い方、表現の仕方を学ぶきっかけになるだろうと考えました」
昨年12月に新作アルバムを発売したミュージシャンでもあり、モデル、絵本作家…と幅広く活動し、「あらゆる表現活動が重層的に響き合って自分を形成する」と語るフジオカらしい出演動機だ。
だが、さらに「縁を感じた。この作品をやらない理由はなかった」ともいう。フジオカは、生まれが福島県須賀川(すかがわ)市なのだ。千葉に引っ越すが、その後も少年時代の夏休みなどは決まって福島で過ごした。
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大人になり香港や台湾でモデル、俳優として活躍。日本のことを忘れかけた頃、震災が発生した。当時は、インドネシアのジャカルタにいたが、「震災のニュース映像を見て、福島が自分の帰る場所、大切な場所だと思い知らされた」という。
自分だけならば、世界のどこにいたって生きていける。だが、自分のことを考えるだけの生き方でいいのか? そんなことを思い始めた。
「いまは、自分が日々やることの結果が、福島、東北、さらに日本、アジア、地球にとって何がしかのポジティブな影響を与えられたらいいと願って行動しています」
福島人であり、地球人でもある。だから、この作品にも出演した。
声の共演は福原遥、美山加恋(みやま・かれん)、富田望生(みう)、山田裕貴(ゆうき)ら。
筆者:石井健(産経新聞)