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ミャンマーでクーデターを起こした国軍側が解任するとしたチョー・モー・トゥン国連大使(51)が4月12日、オンラインで産経新聞の単独インタビューに応じ、クーデターに抗議する国民への武力行使を止めるため「日本の政府と国民は国軍との経済・外交上の関係を停止してほしい」と訴えた。ミャンマーでは9日、中部バゴーで国軍側の攻撃で80人以上が殺害された。同大使は事態は急を要するとし、「今すぐ行動を起こしてほしい」と求めた。
ミャンマー国軍が2月1日に起こしたクーデターについて、同大使は同月26日の国連総会非公式会合で「国軍のクーデターを終わらせ、民主主義を回復するため、国際社会の強力な行動が必要だ」と訴えた。
同大使は昨年10月、クーデターに際して拘束されたアウン・サン・スー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)政権で任命されており、国軍側は同大使の発言を問題視して「即時解任」を発表した。ただ、同大使の後任と目された次席大使は辞任しており、現在も大使を務めている。
インタビューで、同大使はバゴーでの殺害について「国軍が関与した新たな恐ろしい残虐行為を国際社会は目撃した」と非難。また、「こんな事件はもうたくさんだ」と語り、国連安全保障理事会の「より強力な行動」を呼びかけた。
安保理は2月の報道声明で、スー・チー氏らの即時解放を要求し、3月には議長声明で「女性や若者、子供を含む平和的なデモ参加者への暴力を強く非難する」と訴えた。しかし、中国やロシアなどの反対で経済制裁などの措置に踏み込めずにいる。
同大使は「全ての理事国が声を一つにしてミャンマー情勢を注視してくれていることは重要だ」と謝意を表明するとともに、「ありとあらゆる手段を講じてもらうため、声を上げ続けていく」と語った。また、自身の行動について、「国民の側に立ったのは心の声に従ったからだ。現代世界で正当な理由なく人々を拘束したり、軍事力で政権を移譲させたりするのは受け入れられない。軍政の時代に祖国を後戻りさせたくない」と説明した。
中露などが3月27日の国軍記念日の軍事パレードに代表団を派遣したことに関する質問に対し、「各国にはそれぞれの国益がある。それが現実だ」と答えるにとどめたものの、「(抗議の声を上げた)ミャンマー国民の反応はご存じでしょう」と含みを持たせた。
筆者:平田雄介(産経新聞)