Inoue Donaire

~~

 

プロボクシングWBA,ⅠBF世界バンダム級統一王者の井上尚弥(29・大橋ジム)とWBCバンダム級王者のノニト・ドネア(39・フィリピン)の3団体王座統一戦が6月7日、さいたまスーパーアリーナで実現する。両者は、2019年11月に同じ会場で対戦して以来、2年7カ月ぶりの再戦となる。「The Drama in Saitama」。そう呼ばれた2019年の第1戦は、全米ボクシング記者協会が選ぶ年間で最高の試合に選ばれた。今回、「The Drama in Saitama2」となるのか―。井上尚が勝てば、日本人初の3団体統一王者の誕生という期待がかかる。また、23戦目で初めて同一選手との再戦となる。

 

3月30日、公式記者会見に登場した井上尚は、「試合が決まった瞬間、2019年の決勝の日を鮮明に思い出しました。自分としては、13ラウンド目からの戦いだと思っています」と述べ、今回は「前回以上の内容で勝つ」と言い切った。前回は判定による決着だった。対するドネアもビデオメッセージの中で、モンスターを倒す方法を聞かれて、「モンスターを狩るためには罠を仕掛けて仕留める。もちろん最良の戦略と捕獲する力も必要だ」と笑顔でコメントした。井上尚は、「ドネアがどんな出方・引き出しを使ってきても、自分は対応するだけ」と応じ、「罠(フェイント)の掛け合いになる」と試合展開を予想した。

 

5月、大橋ジムで、海外からスパーリングパートナー3名を呼んでスパーリングを実施した。代表取材に応じた井上尚は、「今回は、左フックや得意とするパンチをもらわないようにイメージしながら進めている。ドネアの強さを意識した対策です」と話した。調整についても、「モチベーションが高いので、バンダム級の調整はすごくうまくいっている」と手応えを感じている様子。

 

一方のドネアは5月31日、帝拳ジムで取材対応し、試合のキーポイントを問われ、「準備してきたこと全て、私のこれまでの経験、今の自信すべてを使って戦う。それが勝利へのカギになる。」と応え、「この最高の試合を見逃さないでほしい。2人の戦士が魂を込めて全力で戦う。すべてを懸けて戦う両者の闘志が見えるはずだ。みんなに喜んでもらえる試合になる」と強調した。最後に、敬愛する漫画ドラゴンボールのスーパーサイヤ人のポーズを披露して結んだ。

 

モンスター井上尚弥が、いよいよ日本人史上初の3つ目のベルトに手をかける歴史的瞬間までカウントダウンが始まった。大橋ジムの大橋秀行会長は、「もしドネアをクリアすれば、4団体王座統一戦を日本でも海外でもやりたいと思っています」と今後のプランを明かした。父親の井上真吾トレーナーも「本人の意識が高いので、もうしっかり仕上がっていっている」と太鼓判を押した。そして、井上尚は、「この先、4団体統一、4階級制覇するための試合だと思って臨みます」と宣言した。

 

長期的な目標を見据えて、井上尚の心技体のモチベーションは最高潮にある。29歳の井上尚が再び埼玉スーパーアリーナで、日本ボクシング史に残る偉業を達成するドラマを見せてくれるのか楽しみだ。

 

筆者:佐藤新

 

 

この記事の英文記事を読む

 

 

コメントを残す