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上皇さまは12月23日、90歳の卒寿の誕生日を迎えられた。お住まいの赤坂御用地にある仙洞(せんとう)御所や、皇居内の生物学研究所でハゼのご研究を継続。過去に執筆した論文の再検証に意欲的に取り組まれている。今年は新型コロナウイルス禍が落ち着きを見せ始め、上皇后さまとともに展覧会などに外出される機会もあった。
「今日は、何をしますか」。週2回、生物学研究所に通われている上皇さま。宮内庁の林公義・上皇職御用掛によると、到着するとすぐに、その日のスケジュールを尋ねられる。自ら顕微鏡で標本を観察し、ソファから立ち上がってモニターの画面を指さし、意見を述べられることも。林氏は「今も、現役の研究者として意欲を持ち続けられている」と話す。
上皇さまは現在、職員や他の研究者と2つのテーマで研究を進められている。チチブ類と呼ばれるハゼの研究では、フィールド調査を行うことなどをご提案。また、昭和55年に論文化した「日本産クモハゼ類」の分類について、その後新たに確認された種を含めて識別方法を見直されている。
ご夫妻としては今年、沖縄に関する企画展や、縁のある音楽家の演奏会などに足を運ばれた。宮内庁によると、天皇、皇后両陛下や皇族方のご活動を見守り、外国訪問の折には、その国を訪れたときのことを思い出されているという。過去に訪問した国の現状を気にかけ、専門家から説明を受けられたこともあった。
お住まいでは規則正しい生活を続け、夕食後には側近の職員とオセロや将棋を楽しまれることも。昨年7月に診断を受けた右心不全のご症状は、治療で安定した状態が続いているという。
筆者:緒方優子(産経新聞)