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秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまは12月29日、29歳の誕生日を迎えられた。この1年で活動の幅がさらに広がり、2回目となる海外公式訪問のほか、総裁の務めを果たしたり、若者や障害のある人と交流を重ねたりと、精力的に公的活動に取り組まれた。
宮内庁によると、佳子さまのこの1年のお出ましは東京都内が58件(前年比23件増)、宮城や兵庫、鳥取、鹿児島など地方が10件(同3件増)と、前年に増して多忙な日々を過ごされた。
9月の「第70回日本伝統工芸展」では、主催する日本工芸会の総裁として、天皇、皇后両陛下と長女の敬宮(としのみや)愛子さまの案内役をお務めに。11月には、日本とペルーの外交関係樹立150周年を記念した友好親善の大役を担い、同国をご訪問。現地の日系人とも交流を深め、移住1世の女性の手を握りながら「元気でお過ごしください」と伝えられる場面もあった。
宮内庁によると、佳子さまは「誰もが安心して暮らせる、幅広い選択肢を持てる社会になること」を願い、その思いを胸に活動に臨まれているという。
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手話通じ「かけ橋」に
佳子さまは、令和3年から全日本ろうあ連盟に非常勤嘱託職員として勤務し、日常的に手話を使われているという。ペルー公式訪問に際して現地の手話を学ばれるなど、この1年は佳子さまの手話が改めて注目された。宮内庁幹部は「国内外の聴覚障害のある人と、より深いところで心を通わせたいというご姿勢の表れではないか」と話す。
「練習の成果を存分に発揮できるよう、応援しております」。8月の「第40回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」。佳子さまはお言葉で、冒頭を除き、声を発することなく手話のみで参加者にエールを送られた。背景には、手話は一つの言語であり、「音声言語とともに使うものだという印象を避けたいというお考えがあった」(側近)という。
お言葉で、手話を用いて「世界の人々と挨拶を交わしてみたい」と意欲を語られた佳子さま。11月のペルー訪問では、お気持ちが行動として垣間見えた場面もあった。
首都リマの初等特別支援学校では、現地で使う手話を用い、聴覚障害がある児童らに「私のために準備をしてもらったことに愛を込めて心から感謝します」などとあいさつをされた。訪問の約1カ月半前、関係者から現地の手話の動画を送ってもらい、練習を重ねられていたという。
佳子さまは平成26年ごろから、長年手話を学ばれている秋篠宮妃紀子さまとともに、手話に関する行事にご臨席。その後、お一方で臨席されているものも多い。交流のある日本ろう者劇団の顧問、井崎哲也さん(71)は「お母さまより引き継がれた手話への温かいご関心はごく自然に、訪問国で使われている海外の手話にも及ぶのだと思う」と推し量る。
佳子さまの手話について、「ご自分の考えをしっかりと、聞く人に直に伝わるよう話されている」と説明する井崎さん。今後について、「聞こえない人と聞こえる人の虹のかけ橋として、手話のご活動を続けてくださることを心から願っている」と期待を込める。
筆者:吉沢智美(産経新聞)