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台湾で5月20日、1月の総統選で勝利した民主進歩党、頼清徳新総統の任期がスタートした。頼氏は就任演説で「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」との立場を表明し、蔡英文前政権の「現状維持」路線を継承する方針を示した。松田康博東大教授は、頼氏が軍事的威嚇を含む統一圧力を強める中国に対し、8年前の蔡英文氏の演説にはなかった「明確な抵抗姿勢」を打ち出したと評価した。
蔡政権の教訓
8年前の蔡英文氏の総統就任演説は、馬英九政権で安定した中台関係を維持しようとの意図が見えた。中台が「一つの中国」原則を確認したと中国が主張する「1992年合意」に接近する姿勢を見せ、総統就任前に中国と水面下で対話を図った形跡があった。だが頼清徳氏の演説からそうした形跡は見えず、むしろ日米欧など国際社会と連携を深めていくと言い切った。
聞き手:桑村朋(産経新聞)
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2024年6月8日付産経新聞【明解説】より