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東京国立博物館(東京都台東区)は創立150周年を記念し、所蔵する国宝89件すべてを会期中に公開する特別展を開催している。開催に先立つ10月17日、同館で内覧会が行われ、教科書でもおなじみの埴輪(はにわ)「挂甲(けいこう)の武人」や菱川師宣筆「見返り美人図」など名宝がずらりと披露された。
明治5(1872)年、文部省博物局が東京・湯島聖堂の大成殿で開かれた博覧会「湯島聖堂博覧会」が、同館の始まりとされる。14年に上野公園で内国勧業博覧会が開催される際に、ジョサイア・コンドル設計の展示施設が建設され、翌15年、その建物を旧本館として現在の地に移転した。
以降、同館は日本で最も長い歴史を持つ博物館として、日本や東洋の文化財を中心に現在約12万件を所蔵。うち国宝89件は全国の博物館で最多となる。
18日に開幕する「国宝 東京国立博物館のすべて」展は、国宝、重要文化財を含む計150件を展示替えをしながら紹介。絵画や書跡、漆工など名品とともに、明治から令和に至る東博150年の歴史を振り返る。
見どころの一つは、刀剣ファンの間で話題沸騰の「国宝刀剣の間」だ。「太刀 銘 三条(名物 三日月宗近)」をはじめとする国宝刀剣19件が、一つの展示室に勢ぞろいしている。「刃文や地鉄(じがね)の美しさを味わってもらえるよう、展示ケースや照明にもこだわった」と同館の佐藤寛介・列品管理課登録室長。
また、戦前の東京帝室博物館時代に展示されていたキリン「ファンジ」の剥製標本が、同じ上野公園内の国立科学博物館から約100年ぶりに〝里帰り〟。今とは違う、往年の博物館の光景をほうふつさせる。「創立150年の節目だからこそ実現した、メモリアルイヤーにふさわしい展覧会。ぜひ多くの方にお楽しみいただきたい」と佐藤室長は呼びかけている。
12月11日まで。月曜休。日時指定予約制。