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国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)が発表した2024年の世界各国の報道自由度ランキングで、日本は前年から2つ順位を下げて70位だった。先進7カ国(G7)で最も低くく、SNSでは「こんなに自由に政権批判できる国は珍しい」などと疑問視する声が相次いでいる。民主党政権時の2010年は12位で、14年間で急落した状況に違和感を唱える声もある。
「記者クラブ制度」などが理由
RSFは今月3日に世界180カ国・地域を対象にしたランキングを公表した。トップは8年連続でノルウェーで、欧米諸国がランキング上位を占めた。中国は172位、北朝鮮は177位だった。
日本については政治的圧力や男女不平等などで、記者は監視者としての役割が妨げられていると指摘。記者クラブ制度がメディアの自己検閲や外国人ジャーナリストらへの差別につながっていると批判した。
今回のランキングに対し、エジプト出身のタレント、フィフィさんは4日、X(旧ツイッター)の自身のアカウントに「こんなに自由に政権批判させてくれる国も珍しいし、でっちあげる。報道してもおとがめなく存続させてもらえるなんてすごいよ、日本。〝報道しない自由度ランキング〟ではぶっちぎりの1位になるよ」と皮肉を込めた。
ロシアに侵攻された祖国の情勢を日本語で発信する在日ウクライナ人のナザレンコ・アンドリーさんも5日、Xで「特定野党や左翼団体への批判が許されず、事実を伝えることではなく民主的に選ばれた政権をたたくことこそメディアの役割だと信じ切っている記者だらけだ」と指摘した。
「ランキング急低下と整合性ない」
RSFのウェブサイトによれば、2010年に日本は近年で最もランクが高く12位だったが、その後に急下降した形となる。
ジャーナリストの佐々木俊尚さんは7日、Xで「ランキング急低下と整合性がない」と指摘。Xでは「日本で一番報道の自由がなかったのは民主党の時じゃないですか」「民主党政権時にランキングが上がっているなんて恣意(しい)的にもほどがある」といった疑問の声が相次いでいる。
民主党政権時代を巡っては、フリーアナウンサーの古舘伊知郎さんが5日放送の読売テレビ系の討論番組「そこまで言って委員会NP」で、「民主党が政権取った以降の印象では、けっこう大臣クラスや政治家から、番組に電話がかかってきて『あのキャスター黙らせろ』『謝罪しないと困る』と言ってくる感じがあった」と暴露。「第2次安倍政権になってから全然来ない」と振り返った。
小沢氏「国民はもっと危機感を」
古舘さんは平成16~28年まで、テレビ朝日系報道番組「報道ステーション」のメーンキャスターを務めていた。
ブロガーの藤原かずえさんは6日、Xで「急落したのは、(一部テレビ番組が)主張してきた安倍政権による報道弾圧のせいではなく平成24年11月に記者クラブによるフリーランスの記者への妨害活動が認識されたため」と指摘した。
東京海洋大准教授の勝川俊雄さんは4日にXで、「日本に足りないのは『報道の自由』ではなく、『報道の責任』です。自分たちに都合が悪いことは報道しない自由を行使する一方で、たたきたい対象を非難ときには、捏造(ねつぞう)・偏向、何でもあり」と苦言を呈した。
一方、RSFの評価を正面から受け止める声もある。
立憲民主党の小沢一郎衆院議員事務所は4日、X(旧ツイッター)に「この国は民主主義の成熟という点で完全な後進国になってしまった。自民党による憲法破壊により検閲のような言論弾圧の復活すら懸念される。国民はもっと危機感を持つべき」と投稿し、報道の自由の低下を憂いた。
筆者:奥原慎平(産経新聞)