Japan Supercomputer Fugaku

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理化学研究所と富士通が共同開発したスーパーコンピューター「富岳」(神戸市)が11月15日、スパコンの性能を競う世界ランキング「TOP500」で4期連続の4冠に輝いた。「富岳」はランキングで好成績を収めるだけでなく、新型コロナウイルス関連研究をはじめ、社会課題の解決や科学の発展に貢献するさまざまな成果を生み出している。スパコン界のノーベル賞とも称される「ゴードン・ベル賞」の候補となっている研究もあり、世界的な評価も高い。

 

同賞は計算科学分野で最も権威のある賞の一つで、スパコンを用いた科学・技術分野の研究の中で、その年に最も顕著な成果を挙げた研究に米国計算機学会が授与する。

 

筑波大や京都大などの研究チームが今年の最終候補に残っている。チームは、物質を構成する最も小さな粒子である素粒子の一種「ニュートリノ」の運動を富岳を使ってシミュレーション(模擬計算)して、宇宙の成り立ちに迫る研究を進めている。

 

この賞には昨年も、気象予測の高精度化を目指す国立環境研究所などのチームと、船舶設計に必要な水槽実験をシミュレーションで代替する研究を進める東京大などのチームがノミネートされたが、惜しくも受賞を逃した。

 

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スパコン「富岳」による飛沫のシミュレーション

 

また、ゴードン・ベル賞は昨年から、新型コロナ研究に関する特別賞を設け、スパコンを使って感染症の理解や世界的な危機の解決に貢献した研究を表彰している。せきや発話などで発生する飛沫(ひまつ)をシミュレーションして、新型コロナの感染予防対策に貢献した理研や神戸大などの研究チームが候補となっている。

 

これらの賞は、スパコンランキングも発表された米国で開催中の国際会議で18日(日本時間19日未明)に発表される。

 

富岳は性能のみならず成果も世界で一定の評価を得ているが、海外では巨額投資が相次いでおり、一強の時代は近く終わりを迎える可能性がある。文部科学省の資料によると、米国で2016年以降、スパコンの開発に5500億円以上が投入されたほか、欧州や中国でも投資と開発が活発化。1秒間に100京回の計算ができる「エクサ級」と呼ばれるスパコンの開発計画が複数動いている。

 

開発競争の激化が見込まれる中、日本でもすでに富岳の次の世代のスパコン整備に関する議論が進んでいる。

 

筆者:松田麻希(産経新聞)

 

 

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