~~
秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまのギリシャご訪問では、そのファッションも注目を集めている。これまでの海外訪問でも和装やドレス、パンツスタイルと、さまざまなお姿を披露されてきた佳子さま。識者はその着こなしに、TPO(時、場所、場合)への配慮や面会相手への細やかな気遣いとともに、飾らない自然体の「お人柄」がにじんでいると話す。
手話がくっきりと
現地時間の5月26日、アテネに到着された佳子さま。その日の午後から、ギリシャの世界遺産でアクロポリスにあるパルテノン神殿を訪問された。濃いブルーの半袖ニット、白いワイドパンツにブルーのスニーカーで、ギリシャの国旗を思わせるようなお召し物だった。
その後に宿泊先のホテルで行われた叙勲受章者との懇談では、ピンク色のワンピースに着替え、「ヤーサス」(ギリシャ語で、こんにちは)とあいさつを交わされていた。
今回が、3回目の外国公式ご訪問となる佳子さま。昨年11月に訪問されたペルーでも、行事ごとに異なる装いを披露されていた。
外交関係樹立150周年の記念式典には、淡い色の振り袖姿でご臨席。振り袖には花などの植物が配置されており、現地の日系人らとの面会の際にも着用された。
一方、首都リマの初等特別支援学校では、ピンクがかった赤のレースのワンピースをお召しに。聴覚障害がある児童らと手話でコミュニケーションをとられた際には、ワンピースの赤を背景に、佳子さまの手の形がくっきりと浮かび上がっていた。佳子さまは国内で手話を使う行事に出る際にも、こうした濃い色のドレスを着用されることが多い。
受け継がれる心
皇室の歴史とファッションに詳しい青木淳子氏は、こうした工夫に加え「高齢者施設では優しいピンク、子供たちの支援施設では元気な赤…と、それぞれの場面でよりふさわしい装いを、というお気遣いも感じられる」と分析。上皇后さまがかつて海外訪問の際、相手国の国旗の配色に合わせた色のドレスを身に付けられていたことなどに触れ、「皇室では国内外問わず、服装でも相手への配慮を示す慣例がある」と話す。
ちなみにペルーでは、アルパカが飼育されているサクサイワマン遺跡で、佳子さまがアルパカのペンダントを着用されていたことも注目された。
カジュアルな装いも
また、海外訪問では、野外での視察などで、国内の公式行事では見られないようなカジュアルな服装を披露される機会もある。佳子さまがペルーのマチュピチュ遺跡を視察された際に身に付けられていたベージュのパーカーは、SNS(交流サイト)などで商品を特定し、買い求めようとする人が続出。この時は足元もスニーカーで臨まれており、飾らない着こなしを「参考」にしようとする人が出てきているとみられる。
青木氏はこうした現象について「商品の手ごろさだけでなく、そうした服装をさりげなく、上品に着用される佳子さまご自身の魅力があってこそでは」と指摘。その上で「TPOを鑑(かんが)みつつ、カジュアルさも取り入れられる佳子さまの自然体の着こなしが、皇室をより身近に感じる、ということにもつながっているのかもしれない」と話している。
筆者:吉沢智美(産経新聞)